全身の健康に関わる重要な臓器・腎臓。その働きが低下する慢性腎臓病は、進行してから気がつくことが多いため、尿・血液の定期的検査で早期発見したい。予防法なども紹介。
1.慢性腎臓病(CKD)とは
腎臓の障害や機能低下を起こす原因にはさまざまな病気がありますが、原因になる病気が何であれ、腎臓が障害されたり、機能低下が起きたりした状態を慢性腎臓病(CKD)と呼んでいます。慢性腎臓病は適切な治療を受けないと腎不全へと進行し、透析療法や腎移植が必要となる場合もあります。定期的に検査を受け、早い段階で発見することが大切です。
検査には、尿中のたんぱくの量を調べるたんぱく尿検査と、血液中のクレアチニンという老廃物の量から腎機能を推定する血清クレアチニン検査があります。また、糖尿病がある人は、たんぱく尿検査よりも詳しい内容がわかる微量アルブミン尿検査を受けるよう勧められます。腎機能がどの程度残っているかは、血清クレアチニン値と、性別、年齢から推定することができます。それを表すのがeGFR(糸球体ろ過量)です。慢性腎臓病と診断されるのは、「尿検査が+以上、eGFRが60未満のいずれか、あるいは両方があり、これが3か月以上続いている場合」です。
2.生活習慣病のある人は要注意
慢性腎臓病は初期には症状がないため、病気に気づかないまま放置してしまい、進行してから気づくことが多くあります。早い段階で気づくためには、最低でも年に1回は検査を受けましょう。特に、高血圧、糖尿病、高尿酸血症、脂質異常症、肥満がある人や、喫煙している人、腎臓病のある家族がいる人など、リスクが高い人は、3~6か月に1回は検査を受けることが勧められます。
腎機能を示すeGFRは60以上が正常で、30未満が腎不全となります。健康な人でも加齢とともに少しずつ低下していくのが一般的ですが、高血圧、糖尿病など腎臓に悪い影響を与える因子がなければ、70~80歳代になっても、特に問題なく過ごすことが可能です。ところが、40歳代でeGFRが60を切っている場合には、加齢に伴う腎機能の低下だけで、将来的に腎不全に至ってしまう可能性があります。腎機能の低下を遅らせるためには、生活習慣病を改善し、悪化因子となるものを是正し、喫煙している場合には禁煙することが必要です。
☆ 腎臓の働きや検査の詳細については、
きょうの健康テキスト 9月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年9月1日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140901-h-001.html