慢性腎臓病は腎臓の働きの低下が悪くない初期段階であれば完治も可能。治療の基本は生活習慣改善、高血圧など原因の病気の治療。進行すると食事制限や症状に対する薬も。
1.治療で目指すこと
慢性腎臓病と診断されたら、まず重要なことは、慢性腎臓病の原因を知ることです。早期(ステージG1、G2)であれば、原因を治すことで完治が可能です。eGFRの値が低くなると改善させるのはなかなか困難です。それ以上悪化させず、透析療法に至らないことを目標に、治療を進めることになります。ステージ5になると、透析療法などさまざまな方法で、悪化を防ぐ治療を行います。
最近増えているのは、生活習慣病による慢性腎臓病です。悪い生活習慣や肥満により、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが引き起こされると、動脈硬化が進行し、慢性腎臓病の発症や悪化の原因になります。また、慢性腎臓病があると動脈硬化が進み、高血圧など生活習慣病を悪化させることにつながります。その状態では、さらに慢性腎臓病を悪化させたり、脳卒中や心筋梗塞などが起こりやすくなります。まずは悪い生活習慣や肥満を改善することが大切です。
2.慢性腎臓病の治療
生活習慣病が原因で発症した軽度の慢性腎臓病に対しては、生活習慣病を治療することや、食事の改善、運動をすることなどが治療の中心になります。特に食生活では、軽度でも高血圧がある場合には食塩制限が必要で、1日の摂取量が3g以上6g未満になるようにします。摂取エネルギー量は、肥満が改善するよう適正量にします。喫煙している人なら禁煙することも大切です。
中等度や高度の慢性腎臓病に対しては、さらに進んだ治療が必要になります。食事では、食塩制限に加え、たんぱく質も制限し、腎臓の負担を減らします。また、腎臓の働きが低下すると高カリウム血症が起きることがありますが、この場合にはカリウムの制限も必要になります。貧血やむくみなど、腎不全の症状が現れてきた場合には、これらの症状に対しての薬物療法も行われます。薬物療法でもなかなかよくならず、息切れや疲れ、食欲不振などの尿毒症の症状が現れてきたら、透析療法などの治療が必要となります。
☆治療の詳細については、
きょうの健康テキスト 9月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年9月3日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140903-h-001.html