流線形をした巨大な外観。2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場は8万人を収容できる。当初の建設費は3千億円を見込んでいたというから批判も多かった。
話は変わって消費税のこと。10%に上げるか、上げないかは安倍首相が年内に判断することになっているが、8%に据え置いたままでは子育て支援の財源が15年度に不足するという。その足りない数字も同じ3千億円。厚生労働省の試算だが何だか釈然としない。
ことし4月の8%への消費税増税により、政府が確保するとした子育て支援財源は7千億円。消費税は医療や介護などにももちろん充てられる。そうなると、子育て支援分には4千億円しか回せない、というのが厚労省の言い分である。
政権の目玉政策ともいえる女性の活躍推進や人口減対策は、子育て支援なしに成り立たない。社会の期待だって大きい。そこに暗雲が垂れ込めてきたので、増税しないと難しいですよと言っているようだ。増税への外堀を埋めようとしているとは、邪推しすぎか。
人口も経済も縮小する日本である。次世代のため、ある程度の痛みを共有するのは仕方のないことだと国民は受け入れてきた。しかしいま、景気回復の実感はまだまだで物価も上昇傾向。だから増税には、賛否の声がせめぎ合っている。
さて新国立競技場建設費は半分近く減額された。国家イベントの費用が見直せるのなら、ほかの無駄も省けば子育て支援も何とかなるのではないか。まず、そんな努力を見せてもらいたい。足元の暮らし以上に大切なものはないのだから。
http://www.the-miyanichi.co.jp/kuroshio/_8206.html