米アップルのスマートフォンiPhone(アイフォーン)の新端末「6」「6プラス」が19日発売された。大手携帯電話会社による商戦とは別に、今回は大手との通信契約を条件としない「SIMフリー」の端末も同時に売り出されている。こちらを選び「格安スマホ」として契約する選択肢はお得なのか。
「6」「6プラス」のSIMフリー版は全国8カ所の「アップルストア」や、ネットを通じ購入できる。
19日、東京・表参道の「アップルストア表参道」。男性会社員(35)は「2年間も縛られるのがイヤ」とSIMフリー版の新端末を買った。当面は携帯大手のSIMカードを挿して使うが「将来は格安会社も検討したい」と言う。
スマホや携帯電話には、顧客情報が記録された爪の大きさほどのSIMカードが入っている。大手で買う端末は通常、別の会社のカードに替えられないよう制限する「ロック」がかかっている。これが、2年契約を前提に、端末代金を実質0円に値引く大手の販売手法の支えになっている。
ただ、最近は制限なしの端末が出始め、大手より安めの通信契約を提供する格安スマホ会社も増えた。
日本通信は、「6」「6プラス」で動画を楽しむ顧客を視野に、月間データ通信量8ギガバイトのカードを23日から売り出す。月額利用料は通話機能つきで3980円。格安スマホの通話は30秒に約20円の通話料が別にかかる。通話が少ない人なら、月額8千円程度の契約が多い大手の利用料金より低く抑えられる。ただ、全国に販売網をもつ大手にくらべ、操作方法の相談などのサポートは見劣りする。大手の一角、ソフトバンクの宮内謙副社長は「操作の問い合わせなどへの対応は大手の方が充実している」と強調する。
総務省によると携帯市場に占める格安スマホの割合はまだ5%未満だ。一方、大手の利用料金が横並びで高止まりしているという指摘もある。
(竹山栄太郎、志村亮)
■「50個集め香港へ 2、3倍の値」 中国語の怒声、いざこざも
東京・表参道の「アップルストア表参道」周辺は、開店前から中国語の怒声が飛び交った。行列には、中国人が目立った。場所取りをしていた人のもとに仲間が加わり、早くから並んでいた日本人男性は「昨日まで170人だった列が今朝からどんどん横入りされて3倍になった」。順番をめぐるいざこざも。
開店後、買ったiPhoneと現金を受け渡し、そのままフェラーリなどの高級車に積み込む光景があちこちでみられた。30代の中国人男性は「友だちに頼まれ、昨日から並んだ。報酬は2万円」と明かした。別の男性は「50個集めてすぐ香港に送る。円安効果もあって2、3倍の値がつく」と言い、「高価買取」と書かれた紙を掲げた。中国では「6」「6プラス」の発売時期がまだわからない。この日は中国で人気の6プラスばかりが売れて、30分足らずで品切れとなった。
(藤田知也)
■iPhone6を格安スマホプランで契約すると…
・「5」の16GBモデルを「6」の16GBモデルに変え、2年間使うと想定
【日本通信】
<端末料金>6万7800円
<SIMカード>3000円
<旧端末の下取り>なし
<通話+データ通信の一般的な月額料金プラン>3980円+通話料
<データ通信量のプラン/月>8GB
<2年間の支払総額>16万6320円+通話料
<メリット>あまり通話しない人はお得。契約期間の縛りがゆるい
<デメリット>操作方法の相談などの各種サポートが大手より少ない
【IIJ】
<端末料金>6万7800円
<SIMカード>3000円
<旧端末の下取り>なし
<通話+データ通信の一般的な月額料金プラン>2220円+通話料
<データ通信量のプラン/月>4GB
<2年間の支払総額>12万4080円+通話料
<メリット>あまり通話しない人はお得。契約期間の縛りがゆるい
<デメリット>操作方法の相談などの各種サポートが大手より少ない
【携帯大手】
<端末料金>実質0円
<SIMカード>0円
<旧端末の下取り>▼2万6000円
<通話+データ通信の一般的な月額料金プラン>8000円
<データ通信量のプラン/月>5GB
<2年間の支払総額>16万6000円
<メリット>各種サポートが充実
<デメリット>2年未満で解約すると違約金が生じる
(税抜きの支払額、▼は受取額。日本通信、IIJの通話料は30秒約20円。日本通信のプランは23日、IIJのプランは10月から開始。携帯大手の料金は通話定額、下取りはキャンペーン中に他社から乗り換える場合。他のポイント還元キャンペーン、固定通信契約とのセット割引、家族契約割引などは考慮していない)
http://news.asahi.com/c/agwqbCzP6v39qwaz