家電大手は、50代以上のシニア世代に向けた新製品を次々と売り出している。国内の人口は減っているが、シニアはこれからも増え続けるのに目をつけた。シニアが使いやすいように工夫し、その分値段は高めにして、国内市場での売り上げを確保しようとしている。
パナソニックは17日、おもに50~60代に向けた新たな家電シリーズ「Jコンセプト」を都内で発表した。紙パック式掃除機は、新開発の小型で軽いモーターを使うなどして同種の掃除機では世界で最も軽いという重さ2キロ。エアコンは足元に温風が届くようにした。掃除機は11月25日に発売し税抜き想定価格は5万5千円前後。エアコンは10月下旬から順次発売し、21万円前後からで、ともに高め。
来年度は洗濯機と炊飯器の発売を予定しており、シニア向け家電の売上高は2016年度に500億円、18年度に1千億円を目指すという。パナソニックの高見和徳専務は「売り上げのプラスを狙い、シニアに焦点を当てた」と話す。
ライバルもシニアを狙う。日立アプライアンスは、2合炊きの炊飯器「おひつ御膳」を敬老の日に発売。少量でもおいしいご飯が炊けるよう、同社の最上位機種に使っている鉄の釜を採用した。税抜き想定価格は6万円前後。足元を集中的に温める機能をつけたエアコンも10月末に出す。
三菱電機も、重さ2・4キロの軽い掃除機を6月に発売。片手で操作でき、シニアや女性に使いやすくした。
第一生命経済研究所の永浜利広・主席エコノミストは「高齢者は2040年ごろまで増え続ける。シニアは資産もあり、できるだけ良い物がほしいというニーズが高い」とみている。
(南日慶子、近藤郷平)
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