2014年4月1日時点の待機児童数を市区町村別にみると、対策の中身により結果に差が出たことがうかがえる。待機児童を減らした自治体は、株式会 社を活用して保育所を増やし、定員数を拡大している。半面、既存の社会福祉法人を優遇し株式会社の参入が遅れた地域では、施設整備がニーズの増加に追いつ いていない。
川崎市は13年に待機児童が438人と全国で7番目に多かった。今年は400人近く減らして62人(84位)と大きく改善した。保育所の増設に「株式会社を活用したら用地取得のノウハウがあるのでペースが早かった」(市の担当者)という。
東京都世田谷区は2年連続で全国最多となった。区による保育所運営者の募集で昨夏から株式会社の参入を認めたが、開設実績はゼロだ。前年から139人増え319人(11位)となった熊本市も参入を認めたのは昨年で、来年4月までに第1号が開設の予定だ。
保育所の多くは社会福祉法人が運営する。株式会社に対しては「保育の質や継続的な運営に懸念がある」(熊本市)といった拒否反応が残る。形では参入を認め ても「(運営者を選定する)委員が株式会社に批判的な人ばかり」(保育大手のJPホールディングスの山口洋社長)で実質進まないとの不満も上がる。
国際基督教大学の八代尚宏客員教授は「自治体をより競わせることが必要だ。企業と社会福祉法人の競争条件も公平にすべきだ」と指摘する。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO77038710T10C14A9EE8000/