■医学の歴史語る資料5000点
日本歯科大新潟生命歯学部キャンパスに、日本唯一の「医の博物館」がある。「医学は人間が築いた文化」とのコンセプトで、約150平方メートルの展示室に医学に関する歴史資料5000点が並んでいる。
歴史の授業で習った「解体新書」とその原本「ターヘルアナトミア」のオランダ語版やドイツ語版が展示してある。
ベルギー生まれの医師、ベサリウスの著書「人体構造論」は16世紀に書かれた筋肉や関節、骨などの精密な構造図が載った原書だ。レントゲンやダーウィン、ジェンナーなど医学の発展に寄与した偉人の自筆書簡や著書もあった。
江戸から戦前にかけての薬の看板も面白い。「首より上の薬」は「のぼせを引き下げ、大便快通す」と書かれており、便秘薬なのだろう。ハスの花の上に乗っ た裸体の男性が上と下を指差し、「天上天下唯我良薬」と書かれている。釈迦が生まれたときに語ったという「天上天下唯我独尊」のパロディーだ。
江戸時代の入れ歯は木で土台を作り、前歯は象牙などで作った。奥の部分は土台にびょうが打ち込んであり、そこで食べ物をかんだそうだ。女性用はお歯黒のため、前歯も黒い。
19世紀後半になり、足踏みエンジンという、足踏みミシンと同じ構造で動かす切削器具(いわゆるドリル)ができ、現在の治療の原型ができた。また、麻酔 がない時代に、素早く歯を抜いた道具(いわゆるペンチ)も並んでいて、思わず顔をしかめてしまった。患者を殴って失神させて、抜歯したイラストもあった。
麻酔が発達し、痛みをあまり考慮せず治療できるようになったことなど歯科治療の進歩を理解するとともに、簡単に虫歯が治せる現代に感謝した。(慶田久幸)
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