[ カテゴリー:福祉 ]

「病弱教育」学生ら学ぶ

病気やけがで入院中の子どもや、心身の不調から教室で授業を受けられない子どもたちに教育の機会をいかに保障するか。そのための「病弱教育」のあり方を、東京福祉大学伊勢崎キャンパスで学ぶ学生たちが考える機会を持った。病弱教育を受けた同世代に話を聞き、理想の支援や学級づくりについて語り合った。

3日、東京福祉大学社会福祉学部の松浦俊弥准教授が教える「病弱教育」の特別授業があった。

講師は千葉県佐倉市在住で私立植草学園大学(千葉市)4年の小柳翔太郎さん(22)。病弱教育を受けた経験をもとに、33人の学生に問いかけた。「自分もつらいし、周りにも負担をかける。病気と生きるってどういうことなんだろう」

中学2年の時、陸上競技の走り幅跳びで腰と首をひねり、脳脊髄(せき・ずい)液減少症を発症した。腰の痛みが全身に広がって感覚を失ったが、「単なる腰痛」「精神的なもの」などと診断された。「教室にベッドを」と中学に訴えても理解されず、床に寝て授業を受けた。

光が見えたのは、病弱教育が専門の千葉県立四街道特別支援学校高等部に進学後だった。病状に合う教材を用意し、休憩も増やしてくれた。その経験から「特別支援学校の先生になろう」と決意し、大学に進んだ。治療も効果が出て、昨年から各地で病弱教育の必要性を訴えている。

特別支援学校時代の恩師が松浦准教授だった。「ここまで回復できたのは彼の努力と周囲の支援、病弱教育の成果です」と話す。

出席した社会福祉学部3年の漆迫旺子(あき・こ)さんは「感情移入して泣きそうになった。たくさん学んで子どもたちを支えたい」。教育学部3年の菱拓夢(たく・む)さんは「『子どもに寄り添って』と簡単に言うけれど、いかに寄り添うか考えさせられた。友達として自然に声をかけられる学級づくりが大事ですね」と話した。

県内で病弱教育を担うのは県立赤城養護学校(前橋市上小出町1丁目)だ。本校は群馬大学医学部付属病院に隣接し、県内8病院に分校や分教室がある。教員約80人が入院中の小中高生らに授業をしている。

萩原泰広校長によると、毎年延べ200人前後が授業を受け、9月1日現在43人が在籍する。かつては腎疾患などで長期入院する子どもが多かったが、医療の進歩で入院期間が短くなり、入退院で転入出を繰り返す例が増えたという。

「病弱教育の必要性は、各地の小中高校に広がりつつある」と萩原校長。退院後に元の学校に戻った後も通院しながら病気と闘う子どもたちは多い。医療・精神面での配慮が必要で、現場の教師が戸惑う例が増えてきたという。

同校は今年度、外部の教員と協力して病弱教育を充実させる「Neo Akagi Project(NAP)」を立ち上げ、研究会や悩みなどを語り合う「Edu Cafe(エデュカフェ)」を展開している。萩原校長は「病弱教育の専門性を地域に広め、根づかせたい」と話す。(馬場由美子)

http://www.asahi.com/articles/CMTW1409121000002.html

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