9月になったとはいえ、まだまだ30度を超える真夏日が各地で見られる。そんな暑い日を少しでも涼しく過ごすにはどうしたらよいだろうか。ライフビジネスウェザーの気象予報士に聞いてみた。
○直近50年ほどで熱帯夜は約2倍に増加
じりじりと日差しが焼けつく日、東京の渋谷駅前から明治神宮付近に行くと、ひんやり感じられます。生い茂る木が日差しを遮り、葉の蒸発作用が大気中の熱を奪う効果もあり、ここでは周囲より3度から5度ぐらい気温が低くなっています。
大都市は郊外に比べて、気温上昇が近年特に顕著。ヒートアイランドといわれるように、都市部ほど熱しやすく冷めにくい”熱い島”となっています。
人が多く集まる場所は、それだけ排熱量が多いです。私たちの生活に欠かせないエアコンや自動車、パソコン、工場などから出される大量の熱。コンクリートや アスファルトが放射する熱。さらに、風の通り道をふさぐように林立するビルによってためられてしまう熱い空気。これらの要素も、夏の暑さに拍車をかけてい ます。
24時間営業の店が増えたため、全国各地に「眠らない街」ができてしまい、昼間だけでなく夜の気温も下がりにくくなっています。気候変動レポート2013 によると、東京の熱帯夜(最低気温が25度以上)の日数は、この50年あまりで2倍近くに増加。寝苦しい夜が続くと、熱中症や夏バテの原因にもつながりま すので、注意が必要です。
○炎天下に着用したいファッション
9月に入っても厳しいこの暑さを乗り切るには、十分な休息と栄養補給はもちろん重要ですが、出掛けるときの服装にも気をつけましょう。素材は麻や綿で、熱がこもらず、風通しのよいものおすすめです。
今年も男性・女性ともにリネンのシャツが流行で、おしゃれに見えつつ涼しく着られるのがいいですね。麻素材は軽くてシワも気にならないので、ストレスを感じにくいというメリットもあります。
熱が逃げやすい首元を開けるのも、暑さをしのぐ上での大切なポイントです。Tシャツは丸首よりVネックがよく、スーツの男性は、シャツのボタンを上から2つか3つ外すと、熱がこもりにくくなります。ただし、だらしなく見えないようにTPOには気をつけましょう。
女性は、足元をパンプスからサンダルに変えるだけでかなり涼しくなります。見た目もすっきりして、暑苦しさがなくなりますね。
○「最高気温」を誤解しないで!
炎天下の外出はなるべく控え、歩くときはなるべく木陰を選ぶようにしましょう。日なたと木陰では、温度が全く違います。気温30度の日では木陰に入れば20度ぐらいですが、日なたのアスファルト面は50度に達していることもあるのです。
ところで、皆さんは一般的によく聞く「最高気温」はどのように計測されているかご存じでしょうか。実はこの数字が意外とクセ者なのです。
最高気温は気象台の気温計を参考にしていますが、気象台の気温計は地上から1.5メートルの場所に設置されています。周囲はアスファルトではなく芝生で、直射日光も当たりにくい場所です。機械によって気温計に風が送られ、暑い空気がたまらないようにもなっています。
テレビやラジオなどで伝えられる最高気温はこのような所で観測された気温です。では、アスファルトで日差しがジリジリ当たる場所はどうでしょうか? もっと地面に近い所は? 無風状態の場所は?
実際は、最高気温の数字より5度以上高くなっている場合もあるため、気温が40度を超えている地点も多いといえますね。
○年々、「四季」が感じにくい季節に
8月の猛暑の疲れが出てくる頃になっても、残暑はまだ続きます。「夏が長引いて秋が短くなり、一気に冬がやってくる」。近年そのような傾向になっています。日本ならではの「四季」の移りゆく風情というものがなくなってしまうと寂しいですね。
季節変化が極端になっているのと同じく、天気現象も年々激しさを増しています。今年の梅雨期間中も、しとしとアジサイが似合う雨ではなく、ザーッと一気に 強く降る雨が目立ちました。おだやかな天気を願いながら、私たち気象予報士は、防災への呼びかけを最優先に考える日々です。
http://news.ameba.jp/20140902-304/