心室がけいれんのように震え心臓が血液をまったく送り出せなくなる心室細動は死に至ることが。体内に留置する植込み型除細動器やAEDによる電気ショックで救命したい。
1.心室細動とは
心室細動は、血液を全身や肺に送り出す心室がけいれんするように細かく震える不整脈です。心室細動が起こると心停止状態になり、脳にも血液が流れていかなくなるため、心室細動が起こると6秒間で失神し、3分間で脳が重いダメージを受け、命を落とすとされています。心臓が原因で起こる突然死の大半が心室細動によるものです。
心室細動は、重い心臓病と深く関係しているため、心臓病の発症リスクが高くなる40~50歳以降の人に起こりやすいといえます。特に、重症の心不全がある人や、心筋梗塞を起こしたことのある人は注意が必要です。心電図検査で心臓の病気の有無を確認し、心室細動のリスクを把握しておくことも大切です。
2.AEDの使い方
心室細動で倒れた人の心臓に電気ショックを与えて命を救うための医療器具がAED(自動体外式除細動器)です。倒れている人がいた場合は、まず意識を確認し、反応がなければ胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行います。周りに人がいれば、救急車を呼んでもらったり、AEDを持ってきてもらいましょう。AEDの操作は音声ガイドに従って行います。心室細動かどうかはAEDが判断して、必要がなければ電気は流れない仕組みになっているので、迷わず使ってください。
●AEDを使った救命処置の手順
1. 周囲の安全を確認し、軽く肩を叩きながら「わかりますか?」などと声をかけて意識を確認する
2. 周りの人に「救急車を呼んでください」「AEDを探して持ってきてください」というように具体的に伝え、助けを求める(周りに人がいなければ自分で行う)
3. 胸やおなかが通常呼吸をするように一定のリズムで上下に動いているかどうかを調べ、呼吸の有無を確認する
4. 呼吸が見られない場合は胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行う。胸の真ん中に一方の手のひらの硬い部分を当て、もう一方の手を重ねて、1分間に100回以上、胸が5cm程度沈むくらいの強さで行う(できる場合は人工呼吸も行う)
5. AEDが届いたら、倒れた人のそばにAEDを置き、ふたを開けて電源を入れる。音声ガイドに従い上半身の衣服を脱がせ電極パッドを貼り、本体につなぐ。電気ショックが必要と判断されると音声ガイドが流れるので、自分も周囲の人も患者さんに触れないようにして通電ボタンを押す
6. 電気ショック完了後も意識や呼吸が回復しなければ、音声ガイドに従い胸骨圧迫を続ける。電気ショックが繰り返されることもある
☆除細動器による予防的な治療については、
きょうの健康テキスト 8月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年8月14日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140814-h-001.html