[ カテゴリー:福祉 ]

子ども貧困大綱 改善の数値目標を示せ

あまりの中身のなさにがくぜんとする。閣議決定された子どもの貧困対策大綱には、当事者らが強く求めていた施策の多くが盛り込まれなかった。せめて貧困率削減の数値目標くらいは示せ。

一日の主な栄養源は学校の給食のみ。貧しさから進学をあきらめざるを得ない。そんな子どもたちが少なくない現状だ。

平均的な所得の半分(年百二十二万円)を下回る世帯で暮らす子どもの割合である「子どもの貧困率」は二〇一二年、16・3%と過去最高だった。ひとり親世帯での貧困率は54・6%。ともに先進国の中で最悪の水準だ。

大綱は「子どもの将来が生まれ育った環境で左右されることのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」とうたう。立派な理念は並ぶが、具体的な施策は既存の事業をまとめただけだ。

大綱の策定を義務付けた子どもの貧困対策推進法は昨年六月、全会一致で成立した。与野党超えた全党が、喫緊に取り組まなければならない課題という認識を共有したのではなかったのか。

当事者や有識者が参加する政府の検討会は四回開かれた。当事者らが求めていたのは、貧困率削減の数値目標の設定のほか、ひとり親世帯への児童扶養手当、遺族年金の支給期間の延長や増額、返済の必要のない給付型奨学金の充実などだった。

政府は、貧困率のデータには、資産などが勘案されておらず、実態を反映していない、などの理由で数値目標の導入を見送った。児童扶養手当や給付型奨学金の拡充は財源確保の問題に加え、「施策の効果をよく検討しなければいけない」として退けた。

経済的に苦しい家庭の子どもに給食費や学用品代を補助する「就学援助」は、生活保護が引き下げられたことに連動し、一四年度、七十余の自治体が支給対象の所得基準を下げた。子どもの貧困対策に逆行している。

「私が死んで保険金でももらった方が、子どもはお金の心配をすることなく大学に行ける」。民間支援団体のアンケートに、栃木県に住む四十代シングルマザーはつづった。

英国では、一九九九年、当時のブレア首相が、子どもの貧困撲滅を打ち出した。数値目標を掲げて、多くの施策を打った結果、貧困率の削減に成功した。

日本の政府は熱意に欠ける。政治主導で最優先に取り組むべき課題だ。

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2014090102000109.html

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