失業や病気などで困窮した人を支えるため来年度から始まる生活困窮者自立支援制度について、実施主体である市区町村の3割で担当部署が決まらず、6割は首長に制度の説明すらしていないことが厚生労働省の調査でわかった。
生活保護受給の手前の「新たな安全網」として期待されているが、低調な準備状況に同省は「有効な支援体制が作れない自治体が出る」と危機感を募らせている。
同制度は、生活保護などの事務を行う福祉事務所(都道府県、市 区は設置が必須、町村は任意)がある自治体が実施主体になる。市区町村では、全国で856に上る。自治体に相談窓口が置かれ、専門の支援員が困窮者に就労 訓練や家賃補助などを行う。対象者は多重債務やひきこもりなど複雑な課題を抱えた人が多く、支援には福祉団体や企業との連携が不可欠で、準備には時間がか かるとされる。
しかし、同省が準備状況(6月末)を調べたところ、856市区 町村のうち、29%にあたる247市区町村で担当部署が決まっていなかった。制度の説明を首長に行っていない市区町村は60%に上った。準備が遅れている 自治体からは、「支援対象者が分かりにくい」「生活保護の業務が忙しすぎる」などの声が聞かれる。
同省は来月にも担当者会議を開き、準備を急がせる方針だ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140831-OYT1T50019.html?from=ytop_main2