罪を犯した障害者や高齢者の社会復帰を支援し再犯防止につなげようと、県内の弁護士会、司法書士会、社会福祉士会、精神保健福祉士会が連携に乗り出した。合同勉強会を重ねて課題を共有し、支援のあり方を探っていく。 (伊藤弘喜)
前橋市の群馬弁護士会館で三十日に開かれた合同勉強会。五月に続き二回目で、司法、福祉関係者ら五十人が参加した。弁護士や福祉施設職員ら三人が 講師を務め、罪を犯した障害者らの支援の現状を解説。起訴猶予となるような軽微な犯罪容疑で逮捕された人が、身寄りがないため起訴され、刑務所に送られた 例もあるとの報告もあり、「そんなことがあるのか」と驚きの声を上げる参加者もいた。
法務省の二〇一三年調査によると、受刑者約五万六千人のうち、知的障害のある人や疑いのある人は約千二百七十人で2%余り。このうち、福祉の支援を受けるために必要な療育手帳を持つのは約三百五十人にとどまる。
刑務所や拘置所などを退所する障害者らを支援する県地域生活定着支援センターの高津努所長は、「福祉の支援を受けていれば罪を犯さなかったとみられる人は少なくない」と指摘する。
同センターは一〇年に開設し、前橋地検や地域の福祉施設と連携して犯罪を繰り返す障害者や高齢者の社会復帰を促してきた。また、前橋保護観察所は 今年四月から、起訴猶予になった障害者やホームレスの就労や住居を探すなどの支援を試行事業として始めるなど、司法と福祉の連携が進みつつある。一方、弁 護士や社会福祉士らには広く知られておらず、合同で勉強会を開くことになった。
パーソナリティー障害のある人の刑事弁護に携わった男性弁護士は「弁護の選択肢が増える」と連携を歓迎。高津所長は「連携が進んで、罪を犯した人が適切な支援窓口にきちんとつながるようになれば」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20140831/CK2014083102000140.html