25日に公表された全国学力調査では、子どもたちの学習状況や生活習慣も尋ね、学力とのかかわりを調べた。生活習慣自体より、その基となる家庭環境が学力に影響している可能性はあるが、普段の生活から学力を上げるヒントを探ることはできそうだ。どんな子の正答率が高かったのか。
■家で復習、読書に親しみ 計画立てるのも自分で
学習状況や基本的生活習慣の調査は4月、全国の国公私立小中学校の小学6年生と中学3年生約220万人を対象に実施。国語と算数・数学のA(基礎)、B(応用)計4教科のテストに合わせて尋ねた。
家での勉強時間は、長いほど成績が良かった。小学校では、学校の授業時間以外で平日に3時間以上、土日など休みの日に4時間以上勉強している子 は、全くしない子より各教科で平均正答率が約20ポイント高かった。中学校でも同じ傾向だ。この勉強時間には、塾や家庭教師に教わる時間も含む。
「家で自分で計画を立てて勉強しているか」「家で学校の授業の復習をしているか」で、「している」と答えた子ほど正答率が高かった。「読書が好き」と答えた子は、小中学校とも全教科で正答率が高かった。
学習の態度では、「総合的な学習の時間」で「自分で課題を立てて情報を集め整理して、調べたことを発表するなどの学習活動に取り組んでいる」と答えた子は全教科で好成績だった。
教科別にみると、国語では「授業で意見などを発表するとき、話の組み立てを工夫している」「自分の考えを書くとき、考えの理由が分かるように気を つけて書く」「文章を読むとき、段落や話のまとまりごとに内容を理解しながら読む」という子、算数・数学については「解き方が分からないときは、あきらめ ずにいろいろな方法を考える」「学習したことを普段の生活の中で活用できないか考える」「授業で公式やきまりを習うとき、そのわけを理解するようにしてい る」という子ほど、正答率が高かった。
活字に親しみ、意味や活用方法を考えたりしながら、計画を立てて長い時間勉強している――。正しい答えを導き出す子には、そんな傾向がうかがえた。
■ネット・ゲームは少なめ ニュースで社会に関心
今回の調査では初めて、携帯電話やスマートフォンでのメールやインターネットの使用時間を尋ねた。
普段(月~金曜日)の1日あたりの使用時間を質問したところ、小中学生どちらも、メールやインターネットをする時間が長い子ほど、すべての教科で平均正答率が低かった。
同様に、平日にテレビやパソコン、携帯電話などでゲームをしている時間も、成績と関係していた=グラフ。ゲーム時間については、調査で毎回、尋ね ている。ゲームを1時間以上する小学生は今年度、2008年度の47・5%から54・4%に増加。中学生でも、08年度の39・4%から55・9%に増え た。2人に1人以上が平日1時間以上ゲームをしていることになる。
一方、小中学生のどちらも「テレビのニュース番組やインターネットのニュースを見る」「新聞を読んでいる」頻度が高いほど、全教科で正答率が高かった。
たとえば、新聞を「ほぼ毎日読んでいる」小6の算数Bの平均正答率は66・2%だったのに対し、「ほとんど、全く読まない」子は54・6%。「地域や社会で起こっている問題や出来事に関心がある」が「当てはまる」と答えた子ほど、正答率が高い傾向もある。
メディアへの接し方を工夫し、社会への関心を広げることも学力向上につながりそうだ。(杉原里美)
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