心臓といった身体内部に障害がある内部障害者を示すマークの普及が大阪で一歩前進した。行政機関が公共交通 事業者らにマークの貼り付けや周知を求めたのを機に、NPO法人が協力を申し出て実現。内部障害は外見から判別しにくく、鉄道やバスの優先席利用などで偏 見を受けるのが問題となっており、関係者は「今後さらに広まっていけば」と期待を寄せている。
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内部障害者への理解を求める「ハート・プラスマーク」 |
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ハート・プラスマークのステッカーを大阪バス協会に無償提供した徳永理事(左)=7月、大阪市北区の大阪バス協会 |
■優先席で偏見の目
身体障害者福祉法では、心臓や腎臓などの機能障害を内部障害と定め、全国の内部障害者数は約109万人。身体障害者数全体の31%を占める。
内部障害者を示す統一マークはなく、国際標準化機構(ISO)のピクトグラム(絵文字)や、内部障害者の問題を啓発するNPO法人ハート・プラスの会(名古屋市)が考案したハート・プラスマークなどがある。
同NPO法人の徳永周三理事(63)=寝屋川市=は、心臓の筋肉が伸びたゴムのようになり、血液を送るポンプ機能が著しく低下する拡張型心筋症。 10分以上歩くと3、4日は体調不良が続く状態だが「マークを付けていても周知されていないため、理解が得られず優先席に座ろうとすると偏見の目で見られ ることがあった」と打ち明ける。
近畿運輸局の調査(1月現在)によると、近畿圏内の主要鉄道事業者では、20社中12社が内部障害も含む優先席用のピクトグラムを掲示。バス事業者152社ではピクトグラムが4社、ハート・プラスマークを貼っているのは8社だった。
■1800台掲示へ
「電車やバスで温かく接してもらえるようマークを周知してほしい」との相談を踏まえ、総務省近畿管区行政評価局は5月、内部障害者を含めた優先席 のピクトグラムの周知について、鉄道・バス事業者に理解を求めるよう近畿運輸局にあっせん。翌月には近畿運輸局が管内の事業者に協力依頼の通達を出した。
こうした状況を知った徳永理事は「この通達を追い風にしよう」と大阪バス協会にステッカーの無償提供を打診。7月に2千枚強を手渡した。
大阪バス協会は加盟事業者に配布。すでにマークを掲示していた1社を除き、路線バスを運行する他の全11社約1800台での貼り付けにつながったという。藤原昭三専務理事は「内部障害者の方にも優先席に座ってもらい快適にバスを利用してもらえれば」と話していた。
大阪市交通局も独自にピクトグラムを導入済み。付けたマークをどう啓発していくは今後の課題だが、府内のバス事業者でのマーク普及が一気に進んだ形だ。
徳永理事は「今後各地の交通事業者に掲示の輪が広がっていけば」と思いを込めている。
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/140828/20140828019.html