水難事故は服を着て靴をはいた状態で起きていることが多い。今回は着衣状態で水に落ちた場合に身を守る「着衣泳」と呼ばれる方法を伝える。また救命胴衣の重要性も伝える。
1.背浮きで待つ
夏は水の事故が増える季節です。水の事故の7~8割は、魚取りや釣り、水辺を歩いているときなど、服を着て靴を履いた状態で起きています。そういった場合に身を守る方法が背浮きです。背浮きとは、ラッコが水に浮いている体勢のように、背中を下にして水に浮くことをいいます。この状態で待てば、水面から鼻と口が出て呼吸ができるだけでなく、衣服内の空気が上に抜けにくいので、さらに浮きやすくなります。着衣泳は、着衣のまま背浮きで救助を待つ技術です。着衣で水に落ちたときは、両手で下向きに水をかきつつ、徐々にあおむけになり、力を抜いて背浮きの体勢になります。大切なのは、垂直の体勢の時に息を吐いてしまうと、体がそのまま沈んでしまうので、浮き上がるまでは絶対に息を吐かないようにすることです。
2.周囲の人ができること
水に落ちた人を見た場合、自ら飛び込んで救助に行くことは絶対に避けてください。人を救助するには水難救助の訓練による特別な知識や技術が必要になります。周囲の人はまず119番に通報し、救急隊や救助隊の到着を待ちます。そして、浮き輪などの救命用具を投げ込み、大きな声で「浮いて待て」と声をかけ続けます。浮いて待て、と声をかけ続けることで、落ちた人は無駄な動きをせずに落ち着いて救助を待つことができます。
救命用具がなければ、1リットル以上の空のペットボトルでもかまいません。もし釣り具があれば、ペットボトルの中に釣り糸と重りを入れてふたを閉め、釣りざおを使ってこのペットボトルを浮いている人に向かって投げ込みます。水中で受け取った人に対しては、背浮きをしたままペットボトルをへその辺りに保つよう伝えてください。
☆背浮き・着衣泳の詳しい方法については、
きょうの健康テキスト 8月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年8月5日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140805-h-001.html