[ カテゴリー:福祉 ]

災害弱者、1階暮らし多く動けず 京都・福知山豪雨

市街地を中心に水害が広がった京都府福知山市で、障害者や高齢者らのいわゆる「災害弱者」や福祉施設も大きな被害を受け、日常の生活や業務に支障が でている。個人宅の車椅子やベッドが浸水したほか、福祉サービス事業所も水に漬かり、元に戻るまで数カ月を要するケースもある。災害弱者支援のための「要 配慮者名簿」の登録は推定対象者の4分の1にとどまり、活用に課題が残っている。

市障害者生活支援センターによると、今回の水害で少なくとも障害者の約30世帯が浸水した。部屋に水が流れ込んでベッド上で動けなくなったり、視覚障害者が水に漬かりながら家族に連れられて避難したりするケースがあったという。

障害者や高齢者が優先的に1階に入居している市営住宅は計27戸が浸水。このうち12戸に住む高齢者や障害者が被害を受けた。同センターの村松充・地域福 祉部長は「一般住宅でも災害弱者は1階に暮らしていることが多い。被害の数は集計中だが、電動車椅子や補聴器などが水没した報告もある」と言う。

災害弱者を支えている福祉施設も被災した。府や市によると、障害者や高齢者の福祉サービスを提供する約280事業所のうち、少なくとも18事業所で被害が 出た。「厚ニコニコハウス」(厚中町)はデイサービスをする1階が60~70センチ浸水。施設は4階建てで車椅子利用者などの移動で不可欠なエレベーター も故障し、復旧に3~4カ月かかる。事業は代替施設も活用して続けるが、中生勇施設長(56)は「他施設の職員も総出で何とかやりくりし、利用者に影響が 出ないようにしたい」と話す。

市は災害弱者の居住状況を把握し、避難に役立てるため「要配慮者名簿」を作成している。しかし、自主的に登 録する仕組みで推定対象者5千人のうち、実際に登録しているのは1200人にとどまり、全災害弱者の状況の把握はできていないのが現状だ。名簿の活用法は 各自治会に委ねられ、ガイドラインもない。

市地域福祉課は「要配慮者の避難を誘導する民生委員宅も浸水し、声かけができなかったケースもあった。名簿をどう避難に生かすか検証したい」としている。

http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20140822000078

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