厚生労働省は、認知症の予防法や治療法の開発を目指し、全国で1万人以上の規模の住民調査を始める方針を固めた。
生活習慣や遺伝子と発症の関連を調べるもので、来年度予算の概算要求に1億円を盛り込む。政府が先月に閣議決定した「健康・医療戦略」で重点目標に掲げた、日常生活を支障なく送れる「健康寿命」の延伸につなげる。
調査では、福岡県や宮城県などの5か所以上の市町村で、65歳 以上の認知症ではない人に参加を依頼。〈1〉食事や運動といった生活習慣の聞き取り〈2〉遺伝子や血糖値を分析するための採血――などを検査する。5年以 上にわたり、定期的に検査を続けるとともに、発症の有無を調べる計画だ。
認知症患者は全国に500万人前後と推計される。近年の研究で は、糖尿病や喫煙が認知症の発症のリスクを高めることが判明、発症にかかわる遺伝子も見つかっている。厚労省は、住民調査でこうした成果を確認するととも に、発症を抑えられる生活習慣や治療法開発につながる関連遺伝子の新たな発見、早期診断法の開発を目指している。
これまで5000人規模の調査はあったが、関連遺伝子の分析は難しかった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140823-OYT1T50082.html