自動で動き回って床をきれいにするロボット掃除機。米アイロボット社の「ルンバ」が人気だが、国内の電機大手も本腰を入れ始めた。東芝は21日、2年ぶりの新機種となる「トルネオ ロボ」を発表した。シャープも2012年に参入。ルンバの背中を追いかけている。
「初めて国産掃除機をつくったメーカーとして、あらゆる技術を投入した」。21日の新製品発表会で、東芝ライフスタイルの石渡敏郎社長は自信をみせた。
9月に売り出す「トルネオ ロボ」は、赤外線や超音波を使って壁や柱の位置や部屋の形を把握し、隅々まで掃除できるのが売りだ。掃除機の底を床から1・5センチ離すことで、ロボット掃除機の弱点といわれる床の段差を、乗り越えやすくした。価格は税抜き7万5千円からを想定しているという。
調査会社GfKジャパンによると、ロボット掃除機の国内販売台数は09年以降5年連続で増えている。とりわけ、市場の約7割を占めるとされるルン バの販売は急伸している。日本で本格的に売り出して7年後の11年には約35万台ほどにとどまっていた累計販売が、昨年10月には100万台を超えた。
洗濯機や掃除機など「白物家電」の国内販売は、大きな成長はなく横ばい状態だ。ロボット掃除機の市場は、メーカーにとって有望に映っている。
東芝は他社に先駆けて02年に海外メーカーが開発した「トリロバイト」を発売したが、販売が伸びずに事実上撤退。11年に再参入した「スマーボ」も、シェアが数%ほどにとどまり苦戦していた。
今回は、市場奪取に本気だ。他社に委託していた生産を海外の自社工場に切り替えるなど、開発や生産の体制を見直した。東芝グループが持つセンサーや半導体などの強みを製品に生かしやすくするためだ。
ルンバを追いかけるのは東芝だけではない。12年6月にシャープが発売した「ココロボ」は、おしゃべりもできる「おもしろさ」も受けて販売を伸ばし始めている。玩具メーカー・バンダイの子会社や、流通大手イオンやニトリの、価格が安いPB(自主企画)商品も登場し、すそ野を広げている。(内山修、福山亜希)
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