文部科学省の「学校施設と他の公共施設等との複合化検討部会」(部会長・上野淳首都大学東京理事・名誉教授)は20日、初会合を開いた。人口減少のなかで も地域を維持するために、地方自治体が所有する公民館や体育館、社会福祉施設などの公共施設機能を小中学校に機能を持たせる「学校施設複合化」を進め、地 域防災を含めたコミュニティー拠点として学校を再整備することが目的。地方自治体にとっては、国から義務付けられたインフラ長寿命化計画(公共施設等総合 管理計画)策定に役立つ一方、地方建設業界にとっても、学校を拠点にした施設再編と維持・管理業務、改修などが今後の市場として期待できる。
同部会は今後、学校施設と他の公共施設などとの複合化の基本的考え方や複合化施設整備の留意事項、複合化の支援策などについて、先行事例の収集・分析を行った上で来年3月に素案を提示し、来夏にも報告書をまとめる予定。
この日の初会合では、自治体出身の委員から、「地方自治体は総合管理計画を策定しなければならない。学校施設と他の公共施設との複合化方針が遅れると、 総合管理計画の内容と整合性が取れないケースもありうる。早急に複合化方針を示すべき」といった指摘も相次いだ。また、「複合化は規制を外さないと難し い」と規制緩和を求める意見も出た。
全国の市区町村が所有・管理する公共施設の36%、約4割が学校施設が占める。既に防災拠点となる公共施設として学校施設の耐震化は進んでいるが、人口 減少と大都市への人口流入によって地方では児童生徒数が減少し、余裕教室が増大しているほか、学校統廃合を余儀なくされるケースも広がっていた。
今回、文科省が学校施設の他の公共施設との複合化拡大を後押しすることで、学校施設が地域コミュニティーの核として地方自治体が保有するインフラの長寿命化を含めたマネジメントを行うことを支援することになる。
一方、老朽化が進行し改修が必要な学校施設が全体の約7割に達することが13年度の公立学校施設実態調査で浮き彫りになっており、学校施設と他の施設と の複合化が進めば、地方建設業界にとっては学校施設の改修が確実に進むことで一定規模の市場が見込めることにもなる。
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