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フカヒレ提供中止、日本はルール守っているのに

高級食材「フカヒレ」の提供をやめる動きが広がっている。一部の漁法に国際的な批判が高まっているためだが、宮城・気仙沼ではサメ漁に復興の期待がかかる。

■一部の漁法に国際的な批判

「ヒルトン東京」など同グループの国内11ホテルは4月から、フカヒレの料理をメニューからなくした。東南アジアや中国では2012年末から提供をやめている。担当者は「フカヒレ目的の無規制な漁でサメが減っている。世界的な保全活動につながれば」。

ホテルでは「シャングリ・ラ」と「ザ・ペニンシュラ」も2年前に提供を中止。大韓航空はフカヒレの輸送から撤退した。

背景には、環境保護団体の強い働きかけがある。世界自然保護基金(WWF)などは05年、香港ディズニーランドの併設ホテルでのフカヒレ提供を非難する声明を発表。ディズニーは提供を中止した。

「NO! FINNING 残酷なフィニングに反対」――。自然派化粧品などを販売する「ラッシュジャパン」(本社・神奈川県)は5月末、こんなキャンペーンを展開した。

フィニングとは、生きたサメのヒレだけを切り取って海に戻す漁法。日本では禁止されている。

フカヒレの取引価格は、ヨシキリザメの尾ビレで1キロ約2万円。高級品では1キロ10万円ほどで取引される。一方で、ヒレ以外のサメ肉は安値なため、漁業管理が不徹底な地域ではフィニングが絶えない。

同社は「高級食材の裏にどんな漁法があるのか日本の消費者に知って欲しかった」と説明。「気仙沼など国内のサメ漁を否定するものではない」とした。

■無駄なく活用、気仙沼の伝統

ヨシキリザメが連日水揚げされる宮城・気仙沼漁港。「三陸のサメ漁は歴史のある漁業。国際ルールにのっとってやってきた」と気仙沼遠洋漁協の三浦一彦専務理事は強調する。

日本中国料理協会の朝倉孝和専務理事も「気仙沼のサメ漁は伝統的、歴史的に骨や皮まで無駄なく活用してきた。一部の諸外国の漁法とは違う、守るべき文化だ」と話す。

フカヒレを業者へ卸す中華高橋水産の本吉工場(気仙沼市)の担当者は「我々も『資源の有効活用』と言いながら、数値や根拠を示してこなかった反省もある」。そのうえで、「サメ漁をすべてやめると中小の魚が減ることもある。500種類以上とも言われるサメをひとくくりにせず、枯渇しそうな種類を区別して対応するべきだ」という。

■利用と管理のあり方議論を

気仙沼ではピーク時に年2万トン近くあった漁獲量が東日本大震災で半減。気仙沼遠洋漁協は、持続可能な漁業に認められるMSC認証の取得をめざす。現在は予備審査の段階だという。

気仙沼市と周辺のすし店14店は6月、4年ぶりにふかひれ丼を一斉に売り出した。サメ肉のつみれの吸い物も提供。サメの有効活用で復興の起爆剤にと狙う。

漁業経済に詳しい桃山学院大学兼任講師の鈴木隆史さん(56)は「サメのほとんどの種について、詳細な資源データはない。感情論ではなく、正確な 統計を取って、持続的な利用と管理のあり方を議論する必要がある。でなければ、いずれフカヒレ自体が規制対象になりかねない」と話す。

(山本孝興、青瀬健)

http://www.asahi.com/articles/DA3S11307535.html?ref=nmail

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