訪問介護サービスを受け始めた早い段階で認知症と診断を受けた人が、1年後に在宅で生活を続けている割合が約7割に上ることが、18日までの日本医 療福祉生活協同組合連合会(東京)の全国調査で分かった。医師の診察を受けない人より割合は高かった。認知症の症状が軽い段階では診察を敬遠する人が多い が、早期のケアが有効だと専門家はみている。
同連合会は、病院や診療所を持ち、訪問介護サービスなどを提供する全国約110の生協の連合組織。
調査は、在宅での訪問介護サービスを受ける人のうち、認知症の症状がある4657人を対象に実施した。担当ケアマネジャーが2012年から13年にかけての生活実態や変化を調べ、3474人分(74.5%)の回答を得た。全国規模でのこうした調査は初めてという。
介護サービス開始後、半年以内に医師から認知症と診断された人のうち、1年後に施設などに入所せず、自宅で生活している割合は73.4%だった。一方、認知症の症状はあるものの、本人の希望などで医師の診察を受けていない人の場合は63.4%にとどまった。
同連合会によると、物忘れなど認知症の初期症状が分かった段階で介護サービスを始める人が多い。
調査では、食事や着替えなどの日常生活の動作と1年後の在宅率も分析。洗顔や着替えを自力でできる人の在宅継続率は82.4%だった。自力で排せつできる 人や、ベッドから車いすなどへの移動ができる人も80%を超えた。一方、全て介助が必要な人の場合は63.3%だった。
認知症について厚生労働省は「早期の受診、治療が非常に重要」としている。ただ医療関係者によると、実際には患者が「自分が病気である」という認識に乏しく、病院での受診を拒否するケースが目立つという。
同連合会は「症状が出ている人には早い段階から医師や看護師などの専門家が関わり、早期診断につなげる支援や、その後の適切な治療が必要だ」と指摘している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO75832960Z10C14A8CR8000/