「子供が欲しい」と思っている人は、なるべく早く不規則な生活を見直し、妊娠しやすい体作りに取り組もう。バランスの取れた3度の食事や早寝・早起き、適度な運動といった健康的な生活を送ることで卵巣の働きが良くなり、卵子や精子が元気になるという。(竹岡伸晃)
◆5大栄養素
今月1日、東京医科大学病院(東京都新宿区)で開催された市民公開講座「頑張れ!妊活」。不妊治療での漢方薬の活用法について紹介されたほか、不妊治療経 験のあるロック歌手、ダイアモンド☆ユカイさんが「治療は夫婦で行うもの。男性不妊について知らない人がまだ多いが、男性も恥ずかしがらずに検査を受けて ほしい」と訴えた。
同講座で「産むための体作り」について話した産婦人科「佐藤病院」(群馬県高崎市)の佐藤雄一院長は「『いずれ子供が 欲しい』と考えているのなら、10、20代の頃から体作りに取り組むべきだ」と力を込める。結婚後、不妊治療を行う際も治療と並行して体作りに取り組むこ とになる。
体作りの基本は「栄養バランスの良い食事を朝・昼・晩と規則正しく食べること」。心身を健康に保ち、卵子や精子の質を高めるた めにはタンパク質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素が必要となる。これらの栄養を食事から取ることが基本で、肉や魚、卵、大豆製品、乳製 品、野菜、海藻類、果物、ご飯やパンなどをバランスよく摂取する。
ただ、「昼食をおにぎりやパスタ、そうめんだけで済ませるなど炭水化物をたっぷり取る一方、卵巣の働きを高めたり元気な精子を作ったりするのに必 要なタンパク質は不足しがちな人が増えている」(佐藤さん)。このため、炭水化物は控えめにし、タンパク質を含んだ食品は毎食、意識して食べる。
◆睡眠も重要
ビタミンDの摂取も有効だ。佐藤さんによると、ビタミンDが欠乏したり不足したりした場合、「卵胞発育や妊娠率が低下」「着床障害の可能性が高まる」「不育症のリスクが上昇」などの報告がされているという。妊娠後、母体と胎児の健康を維持するためにも欠かせない。
ビタミンDを多く含む食べ物はサバやサンマ、イワシ、マグロ、煮干し、卵黄、シイタケなど。「良質なタンパク質なども同時に取れる和食がお勧め」
睡眠も重要だ。卵巣などの臓器の働きを高めるには睡眠中に出る成長ホルモンが不可欠。さらに「早寝・早起き」の生活リズムを守ることで、卵巣の機能低下につながるストレスが緩和され、月経サイクルも乱れにくくなる。
適度な運動も生活の中に取り入れる。運動で体に筋肉が付けば、血行が良くなり、臓器の働きが高まる。逆に筋肉がないと出産時の負担も大きいという。「週に 2、3回、1回30~60分程度、ウオーキングや水泳などで体を動かすのがお勧め」。運動はストレス解消にもつながる。
妊娠を希望したとき、すぐにやめたいのが喫煙だ。たばこの煙は、卵巣の機能低下▽精子数の減少▽流産リスクの上昇-などをもたらすという。佐藤さんは「受動喫煙も有害。夫婦ですぐに禁煙に取り組んでほしい」と強調する。
佐藤さんは「妊娠しやすい体作りとは人間が本来持っている『妊娠する力』を高めるためのもの。元気な赤ちゃんを産むことにもつながる」と話している。
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■妊娠しやすい食生活
(1)精製度の低い炭水化物を取り、精製度の高い炭水化物を減らす
(2)不飽和脂肪酸を多く取り、トランス脂肪酸を避ける
(3)植物性タンパク質を多く取る
(4)葉酸と鉄分を含むサプリメントを摂取する
(5)コーヒーや紅茶、アルコール、砂糖入りの清涼飲料水は控える
(6)BMI(体格指数=体重「キロ」を身長「メートル」の2乗で割った数値)を20~24に近づける
(佐藤さんへの取材を基に構成)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140819/trd14081909000002-n1.htm