パーキンソン病は脳の異常によって体の動きに障害が現れます。動作が遅い・少ない・小さい、手足が震える、バランスを取りにくいなどが特徴的で、早期発見と診断が大切です。
1.パーキンソン病とは
パーキンソン病は、脳の異常によって体の動きに障害が現れる病気です。日本の患者数は約15万人で、多くは高齢で発症しています。歩く速度が遅くなるなど動作が遅くなったり、少なく、または小さくなる、安静時に手足が震える(振戦[しんせん])、診察で腕や脚を動かすとカクカクと抵抗が見られる筋固縮[きんこしゅく]がある、進行すると重心がぐらついたときにバランスがとれなくなる(姿勢反射障害)といった特徴的な症状が現れます。そのほかにも、便秘などの自立神経の障害や、抑うつや幻覚などの精神症状が現れることもあります。高齢で重度の患者さんでは認知症を合併することもあります。
2.発症の原因と進行
パーキンソン病の発症には、体を動かすときに運動の指令を調節している脳の中の神経伝達物質ドパミンが関わっています。ドパミンは脳の奥の黒質にあるドパミン神経でつくられ、線条体に送られて、そこから運動を調節する指令が出されます。パーキンソン病では、黒質のドパミン神経が減少することでドパミンが十分につくられなくなり、運動の調節がうまくいかなくなります。
パーキンソン病は何年もかけてゆっくりと進行するのが特徴で、進行の度合いはヤール重症度により5段階に分類されています。かつては、発症から10年後には寝たきりになるといわれていましたが、現在では効果的な薬もあり、発症から長い年数が経過していても大きな支障なく生活することができます。そのためには、できるだけ早くから治療を始めることが大切です。
3.発見と診断
初期に気付かれやすいのは、手足の震えです。パーキンソン病の場合は、安静時に震えて、動作をすると止まるのが典型的です。パーキンソン病と似た症状が現れる病気もあり、これらはまとめてパーキンソン症候群と呼ばれています。手足の震えなど気になる症状がある場合は神経内科を受診してください。
診断では、問診のあと、関節の動きや体のバランスを調べ、パーキンソン病が疑われる場合には画像検査を行います。ドパミン神経の状態を見ることができるSPECT(単一光子放出コンピュータ断層撮影)検査は2014年1月末から保険診療が可能になり、早期発見にとても役立つと期待されています。
NHK「きょうの健康」2014年2月3日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140728-h-001.html










