先日、厚生労働省が日本の子どもの貧困率(2012年時点)が過去最悪の16・3%になったと発表しました。私は、日々の弁護士業務のほかに、保育をはじ めとした子どもの貧困の問題に取り組んできましたので、この発表にはあらためて強い衝撃を受けました。この発表によれば、40人学級でおよそ6・5人の子 どもが貧困状態にあるということになります。
そもそも、子どもの貧困とは何でしょうか。以前、ある弁護士から「子どもの貧困というけれど、それ は子どもの親の経済的貧困とどう違うんですか」と聞かれたことがあります。たしかに、子どもの貧困率などの数値を出す際には、子育て世帯の収入を基準とし ますので、子どもの貧困=親の経済的貧困と思われがちです。
しかし、子どもの貧困という言葉が諸外国で使われ、日本でも5~6年前から使われるようになったのは、子ども、特に貧困家庭の子どもが置かれている状況 を「可視化」するためです。安心・安全な生活や成長発達する機会を十分に保障されない子どもがいることを社会全体で見えるようにし、問題解決を図っていく ためのキーワードが「子どもの貧困」なのです。
子どもの貧困、すなわち、安心・安全な生活や成長発達する機会を十分に保障されない子どもがいる状況を放置しておくと、日本の社会の宝であるはずの子ど もたちの未来が奪われるばかりか、日本社会の活力自体が奪われてしまいます。日本の政府もようやくこの問題に気づきはじめ、昨年、子どもの貧困対策法とい う法律ができたところですが、対策はまだまだです。
子どもたちの多い沖縄から、率先して日本の子どもの貧困の問題を解決する積極的な動きを広げていきたいものです。微力ながら私も頑張ります。
(大井琢、弁護士)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-230175-storytopic-1.html