女性に多い「貧血」。胃がん・大腸がんなどで起こる場合もあるため、原因を明らかにすることが大切。貧血のサインとなる症状や治療・予防法を、鉄欠乏性貧血を中心に紹介。
1.貧血に気づくための症状
貧血とは、血液中の赤血球や赤血球に含まれるヘモグロビンが減少した状態を指します。貧血では、体内に十分な酸素が巡らず低酸素状態となるため、「軽い動作でも動悸[き]や息切れがする」「疲れやすい」「頭が重い」「集中力がなくなる」などの症状がよく見られます。また、頻度は高くありませんが、「爪が割れやすい」「氷水や氷を飲食したくなる」などの症状を訴える人もいます。
貧血の中で最も頻度が高いのは、体内の鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血です。成長期、あるいは月経量が多い、妊娠・授乳、子宮筋腫・子宮がんなどで女性が鉄欠乏性貧血になることがありますが、それ以外に胃・腸の潰瘍[かいよう]、ポリープ、がん、痔[じ]などによる慢性的な出血のために女性に限らず、男性でも鉄欠乏性貧血になる場合もあります。また、骨髄にある造血幹細胞が減ることや、白血病、腎機能の低下なども貧血の原因となるので注意が必要です。貧血の症状に1つでも思い当たった場合には、医療機関の受診が勧められます。
2.鉄欠乏性貧血の治療
貧血の診断には、血液検査を行い、ヘモグロビンの濃度を調べます。成人女性では1dL中に12g未満の場合に貧血と診断されます。治療は、「貧血自体の治療」と「貧血の原因となる病気の治療」を行います。慢性的な出血の原因となる病気が見つかった場合は、その病気の治療を行います。
鉄欠乏性貧血自体の治療としては、不足している鉄を効率よく補うために、鉄剤を内服します。月経による慢性的な出血が原因で鉄が不足している場合には、閉経するまで鉄剤の服用を継続します。副作用として吐き気、便秘、下痢などが起こる人もいますが、多くの症状は服用を続けているうちに気にならなくなります。また、内服薬の場合は、鉄が十分に補われると、吸収する量を体が調整してくれるので、過剰な摂取を心配する必要はありません。自己判断で服用をやめたりせず、医師の指示に従って薬の服用を継続してください。
☆貧血の原因、鉄欠乏性貧血を予防する食材については、
きょうの健康テキスト 7月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年7月23日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140723-h-001.html