台風11号による豪雨で、気象庁が県全域に発令した大雨特別警報。自治体は住民に周知する義務を負うが、全国瞬時警報システム(Jアラート)の故障や「住民の混乱を防ぐ」としてすぐに知らせないなど、市町により伝達までの時間が大きく違った。
特別警報は、九日午後五時二十分に県内の全二十九市町のうち二十一市町に発令。午後六時一分に六市町、残る二町は午後七時四十二分に発令された。
各市町は警報が出たら、「重大な危険が差し迫った異常事態」として、ただちに身を守る行動を取るよう住民に周知することが義務付けられている。
本紙が県内市町に周知の有無を尋ねたところ、ほとんどがJアラートと連動したシステムで直後に防災無線などで伝達。多気町と大台町ではJアラートが作動せず遅れた。
県内で最も遅かった大紀町は、「雨が弱くなっていたのでかえって混乱を招く」と町が判断。発令から七十五分後に住民に知らせた。町の担当者は「二 時間ほど前から雨は収まってきており、ただちに住民に危険がないと考えた」と釈明。発令前に二回、防災無線で警戒と自主避難を呼び掛けたことも考慮したと いう。
担当者は「町としての判断を優先し一度、放送を見送った。最終的には念のため周知をする必要があると判断した」と話す。
また、大台町は宮川地域には防災無線などで知らせたが、降雨が少なかった大台地域には伝達しなかった。
自治体でばらつきが生じたことに気象庁の担当者は「特別警報は、重大な災害が発生してもおかしくない状況であると住民に知らせるために出す。自治体にはただちに周知していただきたい」と話している。
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