過去最悪を更新した子どもの貧困率
2012年における、子ども(17歳以下)の貧困率は16.3%(厚生労働省「平成25年 国民生活基礎調 査」)でした。2003年の13.7%から徐々に上昇し、過去最悪の値となってしまいました。子どものうち6人に1人が貧困という数値であり、学校のクラ スでは平均的に5人程度いることになります。
貧困率は相対的な指標です。可処分所得の大きさがちょうど真ん中の順位の世帯を中央値とし、その中央値の半分より所得が少ない世帯の割合を貧困率 といいます。子どもは世帯に複数いたりするので、世帯とはやや値が異なります。中央値の半分の額を貧困線といい、2012年は122万円でした。貧困線は 1997年の149万円から低下し続けているため、子どもの貧困率の上昇(2.6%ポイント)は数字上よりも深刻だといえます。
両親ともにいる世帯でも貧困率が上昇している
[グラフ]子どもがいる現役世帯の貧困率と貧困線
背景として、母子世帯の経済状況が良くないことが多く指摘されています。確かに総務省(「平成23年度全国母子 世帯等調査結果報告」)によると、2011年の母子世帯は123.8万世帯で、2006年から8.7万世帯増加しています。およそ4割の母子世帯はアルバ イト等での収入に頼っていて、また、2割の母親は就業していません。そのため、母子世帯が増加すると子どもの貧困率は上昇します。
しかし母子世帯だけでは、子どものうち6人に1人という貧困は説明できません。両親ともにいる世帯でも貧困率が徐々に上昇していることで、子ども の貧困率が上昇してきています。子どもの貧困率16.3%はおよそ200万世帯程度とみられ、そのうち140万世帯程度は母子世帯以外と計算されます。子 育て世代全体における貧困化がすすんでいるのです。
子どもがいる世帯についてグラフで見てみると、母子世帯など大人が1人の場合の貧困率は54.6%とやはり大きな数値です。ただ、1997年の 63.1%からは低下しています。逆に、大人の数が2人以上の世帯の貧困率は1人親の場合より低い12.4%ですが、こちらは高まっています。
児童(18歳未満の未婚の者)のいる世帯のうち、65.9%が生活が苦しいと答えています。これは高齢者世帯の54.3%を上回る数値です。子育て世代全体が問題のため、母子世帯等のための児童扶養手当制度等のみでは、子どもの貧困問題のすべては解決できません。