【ベルリン=宮下日出男】西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱について、世界保健機関(WHO、本部スイス・ジュネーブ)は8日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、感染拡大の阻止のため国際社会の協力を求めた。
WHOは感染拡大について、「国際的な一段の拡大が招く結果は極めて重大」だと指摘した。チャン事務局長は同日の記者会見で、過去40年間で最も深刻な状況であり、西アフリカ各国には「対処する能力がない」と強調。さらに、緊急事態宣言によって「すべての国の最高レベルの指導者たちに注意を喚起する」と訴えた。
WHOは声明で、発生地域の西アフリカ各国に対し、拡大阻止のため非常事態を宣言するよう促し、感染者に接触した人が国外渡航しないよう空港などでの検査を強化するよう要求。その他の国への渡航や貿易の制限は見送ったが、渡航者への十分な情報提供などを行うよう求めた。
緊急事態は、感染症が発生国から他国へと国際的に拡大する危険があり、国際的対処が必要であることを意味する。
エボラ出血熱の感染は昨年12月にギニアで始まり、3月ごろから拡大が顕在化。当初はギニア、リベリア、シエラレオネに限られたが、渡航者を通じて隣接しないナイジェリアにも波及した。
今月7~8日には西アフリカのベナン、東アフリカのウガンダでも感染が疑われるケースが伝えられた。今月6日までの死者は961人に上る。
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外務省は8日、ギニア、リベリア、シエラレオネの3カ国への渡航を延期するよう呼びかける「感染症危険情報」を発出した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140809-00000113-san-hlth