30代以降で増えている肝臓病。 原因のひとつが、肝臓に脂肪が溜まり過ぎる「脂肪肝」だ。 肝機能が低下して肝炎を発症し、肝硬変や肝臓がんになる危険も。 知られざる脂肪肝を発見、予防するチョイスとは。
●肝臓病
肝臓は、栄養の代謝や有害物質の解毒など重要な役割を担う臓器です。この肝臓の細胞に炎症が起き、肝臓の細胞が死んでいくのが「肝炎」です。
しかし残った細胞が肝臓の機能を補うため、この段階では自覚症状はほとんど現れません。そのまま放置するとやがて肝炎から「肝硬変」に進行する危険があります。肝硬変になると肝臓の機能が急激に低下し命に関わります。
肝臓の異常に早期に気づき、肝硬変から「肝臓がん」に進行する前に対処することが大切です。
●脂肪肝とは
肝臓に脂肪が溜まりすぎた状態のこと。原因の一つとして、食べ過ぎや運動不足があります。「脂肪肝」は肥満の人に多いのが特徴ですが、痩せている人でもなる危険があります。さらに、お酒を飲まない人でもなる可能性が。脂肪肝の人は年々増加傾向にあり、問題になっています。
<脂肪肝になる仕組み>
肝臓は食べ物でとった糖や脂肪をホルモンやコレステロールに作り変えています。脂肪が溜まり過ぎると、肝臓は脂肪を減らそうとして必死に頑張ります。すると、働きすぎた肝臓の細胞は弱ってやがて死んでいきます。言わば“肝臓細胞の過労死”、これが肝炎の状態です。お酒を飲まないのに脂肪肝が原因で肝炎が起こっている状態を「ナッシュ」と言います。
●チョイス 肥満が原因のナッシュには“減量”
食べ過ぎや運動不足によって肝臓に脂肪が溜まり過ぎた場合、一番の改善・治療法は「減量」です。
肝臓は太りやすく、また痩せやすいのが特徴。食事の改善や適度な運動をすることで、肝臓に溜まった脂肪を効率的に減らすことができます。
食事は、まずご飯1口分減らすことから始めましょう。ご飯1口分減らすだけでも、1年に換算すると1kg分の脂肪が減る計算になります。運動は、ウオーキングなどの有酸素運動が効果的。普段の生活で歩数を増やすことから始めましょう。
●チョイス やせ型ナッシュには“薬”
肥満ではなく、痩せているのに脂肪肝やナッシュになってしまう女性が増えています。その原因は、「加齢による女性ホルモンの減少」。女性ホルモンは年齢と共に徐々に減っていき、50歳前後になると女性は閉経を迎えてさらにその量は減少。女性ホルモンは、肝臓の働きを助けてくれる良いホルモンですが、減ってしまうことで肝臓の働きが弱まり、脂肪肝やナッシュになるリスクが高まるのです。
痩せている人はそれ以上減量ができません。そのため、その患者の方に合わせた薬を処方し治療する場合があります。女性ホルモンの減少が原因の場合、脂質異常症治療薬という女性ホルモンと同じような働きをする薬を使用することがあります。
●チョイス 減量の秘策“見える化”
肥満が原因の脂肪肝やナッシュには、食事の改善や適度な運動が一番効果のある治療法となります。しかし、継続できない人が多いのが現状です。
オススメなのが“見える化”。「体成分分析装置」というもので自分の体を具体的に見える化することで、食事の改善や運動を頑張った成果が数字として分かり、今後の目標にも繋がります。体成分分析装置は、身長と年齢を入力し、微弱な電気を手と足を通して測定。筋肉は電気を通しやすく、脂肪は電気を通しにくい性質を利用して、筋肉量や体脂肪量など様々な項目を知ることができます。
「ナッシュ外来」「脂肪肝外来」「肥満外来」、「メタボ外来」などを行っている病院で取り入れられています。病院へ問い合わせてください。
NHK「チョイス」2014年7月19日(土)放送分
http://news.goo.ne.jp/article/choice/life/choice-20140719-c-001.html