首の動脈にコレステロールがたまる「頚(けい)動脈狭さく症」。一部がはがれると、脳梗塞につながる恐れがある。脳ドックの結果で手術を検討、術後の注意点も紹介する。
1.頚動脈狭窄症[けいどうみゃくきょうさくしょう]と脳梗塞
頚動脈は首の左右にある直径5mm程度の血管で、あごの下辺りで、顔のほうに行く血管と脳に行く血管に分かれています。そこにコレステロールなどがたまり、プラークができて、頚動脈の内部が狭くなるのが頚動脈狭窄症です。プラークの一部がはがれると、血流によって脳に運ばれて脳の血管に詰まり、脳梗塞が引き起こされることがあります。その結果、そこから先には酸素や栄養が送られなくなり、脳の細胞がえ死して、様々な障害が起こります。日本では、脳梗塞のおよそ1/3が、頚動脈狭窄症などのプラークによって起こります。
2.治療と術後のケア
頚動脈狭窄症が見つかり、頚動脈の狭窄率が約70%以上の場合や、プラークがもろくてはがれる可能性が高い場合には、手術が検討されます。狭窄率が軽度だったり、プラークが安定している場合には経過観察が行われます。
経過観察中は、食事や運動などの生活改善に取り組み、抗血小板薬などを使った薬物療法が行われます。また、年に1回は首の超音波検査を受ける必要があります。手術が必要と判断された場合は、首の側面を切開して頚動脈を開きプラークを取り除く頚動脈内膜剥離術か、カテーテルを用いて金属の網状の筒で頚動脈の内部を押し広げるステント留置術のどちらかが行われます。手術後は、血栓ができるのを防ぐために、血液を固まりにくくする抗血小板療法が行われます。頚動脈内膜剥離術の場合は1種類、ステント留置術を受けた場合は2種類の抗血小板薬を内服します。そのほか、コレステロールや血圧などの状態によって、血圧を下げる薬やコレステロールを減らす薬での治療が行われます。
☆ラクナ梗塞については、
きょうの健康テキスト 7月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年7月15日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140715-h-001.html