過敏性腸症候群の治療の基本は「生活習慣の改善」「薬物療法」「心理療法」。医師とコミュニケーションをとりながら焦らず治療を続ける姿勢が大切。食事のポイントも紹介。
1.過敏性腸症候群の治療
過敏性腸症候群の治療は、生活習慣の改善、薬物療法、心理療法の3つが柱になります。診断後、まず胃腸に負担をかけないようにする生活習慣の改善を行い、症状がよくならないときは薬物療法、薬の効果がなかなか現れないときは、心理面からアプローチする心理療法を行います。症状を早く抑えたい場合は、生活習慣の改善と薬物療法を同時に始めることもあります。
特に大事なのが生活習慣の改善です。過敏性腸症候群では、精神的原因が深く関係しています。生活を見直して、できるだけ心身にストレスを与えないようにすることが大切です。具体的には「1日3食バランスよく食べる」「生活のリズムを整える」「ストレスをためない」「睡眠を十分にとる」「適度な運動をする」などを心がけます。食事では、下痢のある人も便秘のある人も、豚のバラ肉など脂肪を多く含む食品や、とうがらしやお酒などの刺激物を控えます。便秘のある人は、食物繊維を積極的にとるとよいでしょう。
2.必要に応じて薬を使う
最初に選択される薬は、便秘・腹痛では「高分子重合体」「消化管運動調節薬」が一般的です。下痢型の男性にはこの2つのほかに「セロトニン3受容体拮抗[きっこう]薬」が処方される場合もあります。ほかにも、下痢の場合は乳酸菌製剤や止痢[しり]薬、便秘には下剤や消化管運動促進薬、腹痛が強い場合には、抗コリン薬や抗うつ薬が用いられます。ストレスが強い場合には、抗不安薬も使用されます。
過敏性腸症候群の薬には多くの種類があります。症状に合った薬を使いながら、必要に応じて薬を替えたり、複数の薬を併用したり、使用量を調整したりしながら、その人に最も適した組み合わせを探っていきます。すぐに効果が現れなくても、焦らず、ゆっくりと治療を進めていくことが大切です。
☆生活習慣の改善のさらに詳しい内容や、心理療法については、
きょうの健康テキスト 6月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年6月17日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140617-h-001.html