検査で異常がないのに、腹痛や腹部の不快感などを伴い下痢や便秘を繰り返す「過敏性腸症候群」。ひどくなると社会生活に支障をきたし、生活の質を落とす原因にもなる。
1.過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群は、原因の心当たりがなく、検査をしても異常が見つからないのに、下痢や便秘、腹痛を繰り返す病気です。命に関わる病気ではありませんが、「下痢や便秘を慢性的に繰り返し」「腹痛や腹部の不快感を伴う」ため、生活に支障が出て、人知れず悩んでいる人が多くいます。「ストレスや不安・緊張など、精神的に負担がかかる状況で症状が悪化する」のも大きな特徴です。
過敏性腸症候群には、若い男性によく見られる下痢型と、年配の女性に多く見られる便秘型、下痢と便秘が起きる混合型があります。タイプに男女差があるのは、腸の働きに性ホルモンが関係しているためではないかと考えられていますが、同じタイプがずっと続くとは限らず、タイプが変わることもあります。自分の症状が病気だと気づかない人も少なくありません。セルフチェックを行って、もし当てはまるようなら一度消化器内科を受診するとよいでしょう。
チェック1
・お腹の痛みや不快感が最近3か月間、月3日以上?
YES↓
チェック2
・排便で症状がやわらぐ?
・排便回数が増減する?
・便が軟らかい?または硬い?
YES2つ以上↓
過敏性腸症候群の可能性
2.命に関わる病気を見逃さないために
過敏性腸症候群の診断では、問診が重要です。「いつごろから、どのような症状があるのか」「便通の状態」「便の形や硬さ」「ストレスの有無」「これまでにかかった病気」「服用している薬」などについて詳しく聞かれるので、受診の前にあらかじめメモをしておき、できるだけ正確に答えましょう。また、内視鏡検査などで、大腸がんのような命に関わる病気やクローン病、潰瘍性大腸炎など他の疾患の有無を調べ、病気がない場合に過敏性腸症候群と診断されます。
この病気は、治療ですぐに完治するというものではありません。担当医とよくコミュニケーションをとり、必要に応じて薬の量や種類を替えて、病状を見ながら治療を進めることが大切です。
☆過敏性腸症候群の原因については、
きょうの健康テキスト 6月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年6月16日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140616-h-001.html