フィジカルトレーナー・清水 忍が、毎日の通勤時間を上手に使った、始業時からフルスロットルで働ける頭と体のつくり方を紹介する。
■交感神経を上手に目覚めさせよう
東京・神奈川・埼玉・千葉在住で東京都内に勤め、妻と同居しているサラリーマンを対象にした調査では、通勤時間の平均は60分。往復2時間と考えると、多くのビジネスマンが、かなりまとまった時間を電車の中で過ごしている。そんな満員電車での通勤がしんどくて、会社に着いたときには、すでに疲れきってしまっているということはないだろうか。
「仕事ができる人かできない人かは午前中の仕事ぶりでわかる」とはよく言われる。体がいい状態になければ、アイデアも閃かないし、頭も回転しないことは、みなさんも経験済みのはず。通勤でクタクタになっていては、いい仕事は望めない。
そこで朝の通勤を上手に使って、始業時からフルスロットルで働ける頭と体にセッティングしようではないか。指導はフィジカルトレーナーの清水忍さん。
「眠りから覚めると、体はリラックス系の副交感神経優位から活動的な交感神経優位に切り替わります。できるなら、ゆとりを持って起きて窓を開け、朝の光を浴びて新鮮な空気を吸いながら、軽く体操してリセットするのがベストですが、みなさん朝は忙しいですからね。
今回、紹介するエクササイズは筋トレや有酸素運動ではありません。悪い姿勢の矯正と、普段使っていない部位に刺激を入れることで、頭と体を目覚めさせるものです。どれも簡単なエクササイズですが、効果てきめんなので、ぜひ通勤時の習慣にしてください」
では、まずは立つ姿勢、体幹の安定から。たくさんの人が悩みを抱える腰痛の多くの原因は姿勢にあると清水トレーナーは見ている。
「腰痛を引き起こす原因のひとつが反り腰姿勢です。立ったときに腰を反らせてお腹を突き出す姿勢になっていませんか? 自分では気がつかないのですが、立ち姿を横から写真に撮ってもらってみてください。ベルトがバックル側を下に斜めになっていたら、それは骨盤前傾、つまり反り腰の状態です。これは正しく腹筋が働いていない姿勢なのですが、この骨盤前傾状態の人がとても多いのです」
反り腰はよい姿勢と勘違いされがちだが、脊柱起立筋が緊張しっぱなしで、腰痛を招きやすい悪い姿勢だと清水トレーナーは指摘する。
正しい骨盤の位置は前傾状態でも極端な後傾状態でもないニュートラルの状態なのだが、骨盤の位置を意識したことがない人にはわかりにくい。
「後傾させるのは恥骨を引き上げる感覚。結果的にお尻の穴がきゅっと締まる。ベルトが地面に対し平行になるのが目安です」
骨盤を後傾に固定するコルセットの役割が腹横筋。腹横筋は骨と連動していないので意識するのが難しいが、腹を凹ませれば自然と働く。呼吸は腹を凹ませたまま胸式呼吸で行う。この腹部の緊張を維持したまま、駅から会社まで歩いてみよう。
「正しい姿勢を覚えると、腰痛が起こりにくいだけでなく、重いものが持ち上げられる、速く動けるなど、パフォーマンスがアップします」
http://news.goo.ne.jp/article/president/life/president_12569.html