ソフトウェア大手の米アドビシステムズのビジネス向けのシステムで15日、不具合が生じた。不具合は世界的なもので、インターネットを通じて画像ソフトを使ったり、雑誌や新聞の電子版を配信するサービスなどが、日本時間では15日朝から16日にかけて24時間以上、利用できない状況になった。
同社日本法人などにによると、本社サーバーのメンテナンス中、利用者の認証システムに不具合が生じたことが原因と見られる。このため、同サービスを利用している、毎日新聞とスポーツニッポン新聞のタブレットやスマートフォン向け新ニュース媒体「TAP-i(タップ・アイ)」も16日早朝の配信が遅れた。
アドビは、イメージ編集ソフト「イラストレーター」や画像編集ソフト「フォトショップ」で知られる。ソフトは現在、インターネットで利用者の認証(ログイン)を行って最新版を利用する「クラウド型」の利用方法が多く、この認証で使われる「ID」は「億を超えるような状況となっている」(同社日本法人広報)。
今回はこの膨大な数のIDを管理する認証システムで、不具合が起きた。ソフト利用サービスのほか、電子媒体として雑誌や新聞のコンテンツを購読者などに配信するサービスにも影響が波及。作成したコンテンツをサーバーに転送できなかったり、転送済みコンテンツを購読者がダウンロードできなくなった。TAP-i以外でも、国内外の出版社をはじめ多数の企業が影響を受けたとみられる。
企業向けの有料クラウドサービスは、システムの安定性が最重要視される。アドビ社は「弊社のサービスがご利用の皆様にとって非常に重要であり、この事(システム障害)が影響を受けた皆様に大きな混乱を引き起こしたことを真摯に受け止めています。皆様のご期待に添えていなかった事を弊社は十分に理解をしています」と謝罪するコメントを発表した。【尾村洋介、平野美紀/デジタル報道センター】
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