高齢者に多い腰痛の代表は1千万人が患う骨粗しょう症によって起きる腰椎の「圧迫骨折」。治療薬やつぶれた骨を安定させる手術、骨を強くする運動などを伝える。
1.高齢者に多い圧迫骨折
高齢者の腰痛の原因はさまざまですが、その中で最も注意が必要なのが圧迫骨折で、ほとんどは骨粗しょう症が原因で起こります。高齢者の場合は、尻もちをついたり重いものを持ったりしただけで、圧迫骨折を起こしてしまいます。また、骨折時にあまり痛みを感じず、気づかないまま圧迫骨折が進み、背骨全体が変形してしまうことがよくあるため、注意が必要です。背骨が曲がってしまうと、歩行などの日常動作で腰や背中に大きな負担がかかり、慢性的な腰痛が現れます。「姿勢が前かがみになっていてつらい」「あおむけに寝ることができない」「身長が急に3cm以上縮んだ」などの症状が見られたら圧迫骨折が疑われます。早めに医療機関で検査を受けましょう。
2.日常生活に支障があれば手術
圧迫骨折の治療では、骨粗しょう症と腰痛の両方に対して治療を行います。骨粗しょう症には、骨を強くする薬物療法・食事療法とともに、痛みが治まったら運動で骨に負荷をかけたり、筋肉を鍛えて転倒を防ぐことも大切です。腰痛に対する治療には、痛みを和らげる薬やコルセットやギプスを使用する保存療法を行い、痛みが治まったらウオーキングなどの運動療法を行います。保存療法で改善せず日常生活に支障がある場合は、潰れた骨の部分に骨セメントを注入して安定させる手術療法(経皮的椎体安定術)を行います。
骨粗しょう症が重いと、他の部位に圧迫骨折が起こる可能性があり、再発しやすくなります。初期の段階でしっかりと治療しておくことが大切です。
NHK「きょうの健康」2014年4月10日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140410-h-001.html