県は地元機械・建設業界や日大などと連携し、潮の満ち引きなどの海流で水車を回し発電する「潮流発電機」の実証に向けて動き出した。その第一歩となる、粟島付近に試験機を浮かべ水車を稼働させる実験が、17日から20日まで実施された。実験結果は実証試験機の設計に生かされ、本格的な発電試験を今夏以降にも始める。県は再生可能エネルギーを生かす発電の選択肢を海洋にも広げて、造船や部品など地元産業の振興につなげる考えだ。
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潮流発電機は発電装置を海に浮かべ、海中に沈む水車が潮の流れなどで回転する仕組み。
今回の実験は、羽根の長さ約40センチの水車を付けた試験機を粟島の港内や周辺に浮かべ、水車が海流の力でどれくらい回転するかなどを計測した。
県や建設の本間組(新潟市中央区)、部品製造のシマト工業(三条市)などで構成する産学官組織「県海洋エネルギー研究会」(新潟市中央区)が日大、粟島浦漁業協同組合と連携し進めた。
今後、同研究会などは出力150ワットの発電装置と羽根の長さ1メートルの水車からなる実証試験機を設計し、粟島沖で発電することを目指す。将来は発電機をさらに大型化し複数で利用する。
潮流発電は主に潮の干満差を利用するため、太陽光発電などよりも安定し発電量を予測しやすい電源として注目され、すでに英国など欧州各国が実証と商用化で先行している。
県は、南北に長い海岸線を持つ地の利を生かしたいとして、国による海洋エネルギー開発のための「実証海域」公募事業にも手を挙げているという。
日大理工学部の居駒知樹准教授は「英国に海洋エネルギー研究に必要な設備や支援サービスが整う実験場『EMEC(イーメック)』がある。新潟版イーメックを整え産学官の英知を集めるべきだ」と期待した。
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