パーキンソン病にはリハビリも欠かせない。「筋力をつける」「バランスを保つ」「ストレッチ」などの簡単な運動を理学療法士が実演。他に大きな声で話す、歌うのも有効。
1.運動によるリハビリテーション
パーキンソン病があると、体の動きが小さくなったりゆっくりになるので運動不足に陥りやすく、体を動かさないでいると、筋力や心肺機能が衰えてしまいます。こうしたことを防ぐには、パーキンソン病と診断されたらすぐにリハビリテーションの運動を始めることが大事です。早期から積極的に運動を行うことで、生活に支障のない状態を長く保つことができ、薬の使用量も最小限で済みます。また、運動はドパミン神経の働きによい影響を与えるという報告もあります。
パーキンソン病の患者さんに適した運動は「体力を保つための有酸素運動」「バランスや筋力を保つ運動」「柔軟性を保つストレッチ」です。運動の効果を高めるためには、できるだけ高い強度で毎日行うことが重要です。また、脳の神経を活性化させる効果を得るため、有酸素運動は20分以上続けて行います。
2.パーキンソン病の運動療法
注意!
・事前に必ず担当医に相談して「心肺機能に異常はないか」「背骨や股関節、ひざなどに障害がないか」を確認
・薬で症状が改善しているときに行う
・いすは安定しているものを使い、平坦で滑らない場所に置いて行う
●ウオーキング ※20分間以上
なるべく大きく腕をふり歩幅を大きくとる。この歩き方とふだんの歩き方を交えて、脈拍が少し速くなる程度の速度で20分間以上ウオーキングを続ける
走れる人は...
ジョギングに挑戦するとより効果的
難しい人は...
トレーニング器具を使って室内で自転車こぎを行ったり、いすに座って足踏みするなどして有酸素運動を行う
●バランス+筋力運動 ※各5~10回
(1)四つんばいになり、片方の腕をまっすぐ前方に伸ばして、手の親指を上に向ける。同時に、伸ばした腕と反対側の脚をまっすぐ伸ばして上げる。
(2)そのまま5秒間保ち、元に戻す。
(3)これを5~10回繰り返し、反対側も同様に行う
難しい人は...
両手を床について、脚のみを上げてもよい
●上半身のストレッチ ※5~10回
(1)いすに浅く腰掛けて、両腕をゆっくり大きく上に伸ばす
(2)おへそを前に出すようにして背筋を伸ばしたまま5秒保ち、元に戻す
(3)これを繰り返す
余裕がある人は...
両腕を上に伸ばした状態で上半身を左右にひねると効果的
腕が伸ばしにくい人は...
肩幅程度の間隔で棒やタオルを持つと伸ばしやすい
●筋力運動 ※5~10回
(1)いすに座って腰に手を当て、3秒間かけてできるだけゆっくり立ち上がる
(2)そのあと、3秒間かけてゆっくり座る
(3)これを繰り返す
余裕がある人は...
立ち上がるときはひざが伸びきる手前で止め、腰を下ろすときはお尻を少し浮かせて止める
症状が進行して体が後ろに倒れやすい人は...
ほかの人に両手をとってもらい、おじぎをするようにして重心を前に移動させ、体を支えながら立ち上がる。座るときも同様にして、重心を前にしながら座る。
3.話し言葉のリハビリテーション
口の周りの動きの影響などで、「声が小さくなる」「早口になる」「声がかすれる」「一本調子の話し方になる」「言葉がなかなか出てこない」などの言葉に関する障害が現れることもあります。これらにもリハビリテーションが有効です。
さまざまな方法がありますが、最近注目されているのが、認定を受けた言語聴覚士の指導を受けながら4週間のプログラムを行う「LSVT® LOUD」という訓練法です。「おはよう」など日常でよく使う言葉を繰り返し、大きな声ではっきり言えるよう練習します。自分でできるリハビリとしては、「カラオケで大きな声で歌う」「本や新聞を大きな声を出して読む」「ふだんから家族や友達と話す機会を多くつくる」などの方法があります。体の動きも言葉も「使う」ことがとても大事です。毎日体を動かし、大きな声を出すよう心がけましょう。
NHK「きょうの健康」2014年2月5日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140205-h-001.html