[19日 ロイター] – 米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のフェイスブック<FB.O>は19日、携帯端末を利用したメッセンジャーサービスで急成長しているWhatsApp(ワッツアップ)を総額190億ドル(約1.9兆円)で買収すると発表した。
フェイスブックは、現金40億ドルと120億ドル相当の株式でワッツアップを買収する。買収額は、インスタグラム取得に投じた10億ドルを上回り過去最大の案件となる。買収に至らなかった場合のブレークアップフィーは10億ドル。
このほか、ワッツアップの創業者らに30億ドルの制限株式ユニット(RSU)を付与する。
買収後もワッツアップの名称を残し、サービスも継続する。同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるジャン・コウム氏はフェイスブックの取締役に就任する。
業界関係者は、買収発表を意外感を持って受け止めた。しかし買収によりテキストメッセージとSNSの組み合わせが可能となり、スマートフォン利用者は携帯通信事業者のサービスを利用することなくさまざまなメッセージや写真・動画をやりとりすることができる。また10代の若者に浸透しやすくなる。
フェイスブックのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は自らのページで、「既存のチャットやメッセージングサービスを補完する」と指摘。両社のメッセンジャーサービスのユーザーは異なっており、今後も双方のサービスでの投資を続けていく意向を示した。
ワッツアップはスマホでのメッセージアプリの有力企業で、北米、アジア、欧州で展開しているが、ゲームなども手掛けるライン(LINE)などとは違いテキストを中心にしている。
創業後5年で利用者は4億5000万人に増加、1日あたり100万人でユーザーが増えている。
ただ、買収額は大きすぎるとの見方もある。
ユーザー1人あたりの買収額は42ドルで、インスタグラムの33ドルや、楽天によるバイバー・メディア買収の3ドルを大きく上回る。
モーニングスターのアナリスト、リック・サマー氏は、利用が急増しているサービス取得は歓迎できるが、最近は伸びが鈍化していることに注意すべきと指摘。その上で「非常に割高な買収で、良い方向にせよ悪い方向に展開するにせよ、大きな賭けに違いない」と述べた。
関係筋によると、ベンチャーキャピタルのセコイア・キャピタルが2011年2月にワッツアップに出資しており、現在では買収額190億ドルのうち30億ドル分相当を保有している。
発表を受けて、フェイスブック株は引け後の時間外取引で2.5%下落し66.36ドル。
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