大腸がんを早期に発見するには「便潜血検査」がオススメだが、実はこれでは見つかりづらいがんのタイプがある。どんなことに注意したら良いのか、がんのタイプと、その危険度を下げ命を守るためのチョイスを紹介。
●「大腸がん」とは?大腸がんによる死亡者は年間4万人以上。がんの中での死亡者数は女性1位、男性3位。大腸がんは自覚症状がないまま進行していく。気づかずに放っておくと他の臓器へ転移する可能性が高くなり、命が危険になる。
●大腸がんの治療は深さで異なる大腸の壁は、簡単に分けると食物の通る内側から「粘膜」「粘膜下層」「固有筋層」に分かれる。「粘膜下層」までにとどまっていて、リンパ節転移がない状態を「早期がん」。この場合、基本はおなかを切らずに、内視鏡でがんをとる治療ができる。「固有筋層」まで深くなると「進行がん」になり、開腹手術や抗がん剤治療になる。
●早期発見が大事早く発見して、がんが浅ければ、体に負担の少ない治療(内視鏡)ができる。早期発見・早期治療が大事。
・便潜血検査大腸がんは出血しやすく、その為に便に血液が混じるようになる。この血液を調べて、がんがあるかどうかの、可能性を調べるのが便潜血検査。器具の先端で便を5~6か所つついたり、便の表面をなぞったりして採取。2日間行う。たまたま便を取った時にがんから出血していないこともある。逆に、痔にも反応するので、この検査で陽性になったとしても必ずしもがんがあるとは限らない。
・大腸内視鏡検査先端に小型カメラが付いている内視鏡という細長い管状の医療機器を、肛門から入れて行う検査。大腸の内部を映し出すモニター画面を見て、がんや大腸の状態を詳しく調べる。100倍に拡大し、がんの「パターン(顔つき)」を直接みて、がんかどうか、がんの深さなどを調べることができる。また、内視鏡は、細胞の採取や小さな腫瘍を切除することもできる。
●大腸がんのタイプ・隆起型(盛り上がったタイプ)便潜血検査で発見しやすい。内視鏡でも発見できる。
・表面型(薄く広がったタイプ)便潜血検査では発見しにくい。内視鏡で発見できる。
・陥凹(かんおう)型(陥没している、もしくは表面と同じ高さ)便潜血検査では発見しにくい。内視鏡でも発見しにくい。
●最新の内視鏡・NBI内視鏡内視鏡先端についているライト。通常の内視鏡は、赤・青・緑を混ぜた光で照らすが、 NBI内視鏡は、特殊な青と緑による青い光で照らし、「血管」を見えやすくする。がんの血管は増殖し集まっているため、NBI内視鏡だとがんを発見しやすくなる。
・拡大内視鏡病変を90~100倍に拡大する機能。がんや腫瘍の表面を拡大して観察することで、その構造のパターンから、正常な粘膜なのか、あるいは今後がんになるようなポリープなのかをその場で判別することができる。さらに、がんがどのくらい粘膜の深い部分まで達しているかも推測できるので、内視鏡による治療か、あるいは開腹手術が必要ながんなのか、最適な治療法を選択できる。
・カプセル内視鏡口から飲んで腸内で写真を撮って記録する。下剤や水を従来の内視鏡検査に比べて2倍飲むことが必要。また、精度を上げていくための研究も続いている。腸内で8~10時間かけて撮影した画像は、肩掛けのポータブル受信機に記録される。費用の目安は10万円(保険適用の場合その3割負担。)※医療機関によって異なります。2014年1月から保険適用。
●大腸がんの治療2cm以上のものと陥凹型
・ESD最近ではESDと言って、スネアで切断するのではなく、電気メスで粘膜を切り取る方法も行われている。粘膜にとどまっていてリンパ節転移がないがんならば、10cm以上でも内視鏡でとることがきる。入院期間は4~5日。2012年から保険適用。
●大腸がんのリスク国立がん研究センターが14万人に行った追跡調査によると、
・「肥満」1.4倍男性ではBMI 30以上は大腸がんかかる傾向は、標準(BMI 23~24.9)に比べ1.4倍という結果が出ている。肥満の原因としての「高脂肪・高エネルギーの肉食が好き」「運動不足」もリスクになる。
・「アルコールを毎日適量以上飲む」2.1倍適量を越えたアルコールは消化管に大きなリスクを及ぼす。1日の適量とされる日本酒1合と比べると2合以上の場合、大腸がんでの死亡リスクは2.1倍になる。
・「喫煙」1.4倍喫煙者は大腸がんで亡くなるリスクは非喫煙者の1.4倍。
・また「親族に大腸がん患者」がいらっしゃる方や「40歳以上」の方も高くなる。NHK「チョイス」2014年1月25日(土)放送分
http://news.goo.ne.jp/article/choice/life/choice-20140125-c-001.html