正座が楽にできない人は要注意!
和式トイレに行けない女性、急増中?
突然ですが、皆さんは楽に正座することができますか? じつは、特に40歳以上の男性には、正座ができないという人が結構多いのです。これは加齢によって大腿四頭筋という前ももの筋肉が硬く縮まってしまうから。女性も男性ほどではないにしても同じような変化が起こります。40歳以上になると急激に膝や股関節の柔軟性が低下して、関節の可動域が狭くなる人が増えてきます。すると筋力も衰え、歩き方もちょこちょこと歩くようになって老けて見えるようになってしまいます。
まだ若いから大丈夫? いえ、最近は子どもでも体の硬い子どもが少なくありませんし、若くても座りっぱなしで運動を全くしない人も多い。知らず知らずのうちに老化が進んで実年齢よりも早く筋力や柔軟性が衰えているかもしれません。
大腿四頭筋と同じように、ももの裏側の筋肉(ハムストリング)が硬くて和式トイレでしゃがむのがつらく、洋式しか使わない人も増えているそうです。あなたは、和式トイレに行くのが苦ではありませんか?
百寿者はみんな朝ストレッチが習慣
じつは僕も以前は正座ができず、わけなくできるようになるまでに5年もかかりました。正座を長時間続けていて下肢がしびれた経験のある人も多いと思いますが、確かに長時間の正座は下肢の血管を圧迫するので負担になります。でも短時間なら、正座は硬くなった前ももの筋肉を伸ばす手軽なストレッチとしておすすめです。
僕はタクシーに乗った時や映画館など、チャンスがあれば昔のおばあちゃんみたいに、どこでも正座します(ときどき隣の人から変な目で見られることもありますが…)。正座したまま片方ずつ膝を上げ下げしていると、前ももの筋肉がほぐれていきます。これを飛行機の座席でやれば、エコノミークラス症候群の予防にもなります。
1日中デスクの前に座りっぱなしの人は、ときどき椅子の上に正座してみましょう。公共のトイレはあえて和式を選び、ももの裏側を伸ばすという手もありますね。このように日常の中に無理なくストレッチを取り入れていくのが賢い方法です。
僕は、日常での正座ストレッチのほか、朝、目覚めたときに布団の上で足を伸ばして前屈したり、正座したまま上半身を後ろに倒したりして10分ほどストレッチをしています。
就寝中、長時間横になっていた体の筋肉は硬くなっていますから、布団の上でストレッチをすることで「睡眠モード」だった自律神経のスイッチを「活動モード」に切り替えるのです。
これまでに僕が出会った百歳長寿の方々も、皆さん共通して、朝、布団から出る前に自分で決めた運動を習慣にされていました。全身を両手でたたいたりさすったりする、手でグーパーをくり返す、手首・足首を回す、両足を上げてグルグル回すなど、方法はそれぞれですが、1日の始まりにこうしたウォーミングアップを行うことが、健康長寿の秘訣の一つかもしれません。
「ほぐして鍛える」をセットにしなやかな筋肉を保つ
朝ストレッチをするときには、楽しかったことや幸せを感じる光景を思い浮かべながら行うと、さらに効果的かもしれません。米国内科学会が冠動脈疾患、高血圧症などの患者756人を対象に行った研究によると、「朝起きたとき、気もちいい、幸せだと感じる光景を思い浮かべる」「困難にぶつかったときは自分自身が誇りに思った瞬間を思い浮かべる」よう指南されたグループの運動量は、イメージトレーニングを行わなかったグループよりも増加していたそうです。ごきげんな人が長生きする理由は、「幸せな人はよい健康習慣を持つ傾向があるから」という説もあります。朝、ゆっくりと腹式呼吸をしながら、幸せな気分でストレッチをすれば、三日坊主になりがちな運動習慣も身につきやすくなるでしょう。
筋力トレーニングが大切であることはこの連載でもお伝えしてきましたが、基本的に筋トレは筋肉を収縮させることが目的ですので、放っておくと筋肉が硬く縮みバランスがくずれてしまいます。逆に筋肉をしっかり伸ばしてやわらかくしてあげるストレッチも必要なのです。筋肉は鍛えるだけでなく「ほぐして鍛える」がセット。特に日常で硬くなったと感じるようなら、筋トレの前にまずはストレッチでほぐすことを心がけましょう。
百歳長寿の方々を見てもわかりますが、こうした運動習慣こそ、若い頃からの積み重ねがものを言います。背筋がしゃんと伸びてしっかりと足を踏み出す、そんなイキイキとした女性をめざすなら、朝ストレッチを習慣にして、しなやかな筋肉を保ちましょう。
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20140204/172741/?ref=top-shin
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