「質が悪い睡眠が続くだけで、逆に体が疲れるから止めたほうが良い」と、言われる二度寝。でも実際には、気持ち良くて、幸せな気分になれることも。そんな二度寝の不思議な効用を探ってみます。
■二度寝が気持ちいい理由
二度寝で幸福感が得られるメカニズムは、まだ、科学的に解明されたわけではありません。これまで知られている事柄から、その仕組みを考えてみました。
□睡眠不足の解消
5分でも10分でも二度寝をすれば、それだけ睡眠不足の量が減ることになります。たったそれだけで、と思うかもしれませんが、昼休みに短時間の仮眠を取ると、目覚めたときスッキリして、午後からの仕事もがんばろうと思えるはず。短時間の仮眠と同じ効果が、朝の二度寝にもあります。
□夢の続きが見られる
朝方には、浅い睡眠であるレム睡眠が多くなります。レム睡眠中、体の筋肉は休んでいますが、脳は活発に働いています。このときに、夢を見ることがわかっています。楽しい夢を見ているときに少し目覚めて、また、楽しい夢の続きを見られると、いわゆる「夢うつつ」の幸せな気分になれます。
□外界からの刺激がソフトに
深く眠っているときは、外界からの情報は途中で遮断されて、脳に届きにくくなっています。眠りが浅くなるにつれ、外部からの刺激が少しずつ分かるようになります。二度寝しているときに、ほんわかと感じる光や物音、布団の触感などが、天国にいる気持ちにさせてくれるのです。
□抗ストレス・ホルモンの働き
目覚める予定時刻の前後には、コルチゾールというホルモンの血中濃度が急に高まります。コルチゾールは、ストレスを和らげる働きがあり、また、膠原病やアレルギーの治療にも使われています。コルチゾールは、副作用として睡眠に悪影響を及ぼすこともありますが、実は「多幸症」を起こすこともあるのです。
■二度寝の達人になるには?
もっと二度寝を楽しむための方法と、二度寝からスッキリ目覚めるためのアイデアをご紹介します。
□明るさ
スッキリ目覚めなければ、せっかくの二度寝の幸福感が失われてしまいます。手軽でしかも強力に目を覚まさせてくれるのは、光です。
一度目が覚めたら、二度寝する前にカーテンやブラインドを開けたり、照明をつけたりして、光が目に当たるようにしておきましょう。
□目覚ましボイス
グッスリ眠っている人に、その人の名前を呼びかけると、急に目覚めることがあります。深い睡眠中には、外界からの情報の多くが遮断されていますが、特定の言葉だけは脳にまで届くからです。この原理を利用して、録音機能がついた目覚まし時計に、自分の名前を吹き込んでおいて、本当に起きたい時刻にアラームとして再生してみましょう。
□温度と湿度
寝床の中は最適の環境でも、室温が低いと布団から出たくなくなります。寒いからといって、いつまでも布団の中でグズグズしていては、時間の無駄遣いです。眠る前に暖房器具のタイマーをセットして、冬であれば朝の室温が、15~20度位になるようにしてみましょう。
□寝過ぎない
長い時間、二度寝していると、逆に体がだるくなってしまうことがあります。これは、質の悪い浅い睡眠が、必要以上に長く続くためです。また、平日の睡眠不足を取り戻そうとして、週末にいつもより起きるのが2時間以上遅いと、ブルーマンデーの原因になります。
□後悔しない
朝は、新しい1日の始まりです。できるなら、気分よくスタートしたいものです。せっかく二度寝の幸福感に浸ることができたのですから、「あ~あ、また二度寝しちゃった」などと否定的にとらえずに、「二度寝できて得したな」と前向きに考えましょう。
二度寝を楽しむ人が増えてくれることを願っています。
文・坪田 聡(All About 睡眠)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140204-00000003-nallabout-hlth