健康効果の高いベリーと言われてまず思い浮かぶのはブルーベリーかもしれないが、スウェーデン、ルンド大学の研究により、北欧原産のリンゴンベリー(コケモモ)に高脂肪食の悪影響をストップさせる効果があることが分かった。
研究チームが用いたのは脂肪が蓄積しやすい体質のマウス。人間でいえば、太り過ぎで糖尿病になるリスクが高いタイプに相当する。これらのマウスを8つのグループに分けて高脂肪食を与え、さらにリンゴンベリー、ビルベリー、ラズベリー、クラウベリー(ガンコウラン)、ブラックベリー、プルーン、ブラックカラント(クロスグリ)、アサイーベリーのいずれか1種類を各グループにそれぞれ与えた。
そして対照群として①ベリー類をいっさい与えないグループと、②低脂肪食のみを与えるグループを用意し、3カ月後の健康状態を比較したところ、ベリーを与えられたマウスの中でいちばん体重が増えなかったのはリンゴンベリーのグループで、平均体重は②とほとんど変わなかった。さらに血糖値やインスリンのレベルも②とほぼ同じ。また、ベリー類を与えられなかったグループと比べると、コレステロールや肝臓の脂肪も減っていることがわかった。
ブラックカラントとビルベリーもそれなりによい結果は出たが、トータルで見ると、やはりリンゴンベリーの効果が断トツだったそうだ。これは成分として含まれるポリフェノールの効果と考えられ、研究チームは今後も分子レベルのメカニズム解明を続けていく予定とのこと。
このような研究結果が出ると、「リンゴンベリーを食べていれば高脂肪の食事を続けてもいいだろう」と考えがちだが、今回の実験で与えられたベリーは餌の20%に相当するそうで、人間がとる食事の2割をリンゴンベリーにするのはあまり現実的とは言えない。「普通の食事を心がけたうえで、足りない栄養素をを補い、肥満や糖尿病を防ぐ手段として利用するべきです」と研究者は指摘する。また、ジャムなど熱が加わったものは成分に影響が出る可能性があるうえ、砂糖も大量に含まれているのであまりお勧めできないそうで、冷凍されたものをスムージーにするのが最も手軽な取り方だそうだ。
ちなみに、疲労回復、エネルギーチャージに効果を発揮するブラジルの“スーパー・ベリー”として知られるアサイーは(厳密にはベリー類ではないのだが)、今回の実験では最も結果が悪く、アサイーを与えられたグループのマウスは体重が増え、肝臓の脂肪も減らなかったそうだ。
ルンド大学の研究結果は学術誌『Journal of Nutrition and Metabolism』に発表された。