マーケティングライターの牛窪恵です。
年末年始を過ぎ、いよいよ冬の寒さが本格化してきました。皆さんの周りにも、風邪やインフルエンザに悩まされる人がいるのでは?
さて、言うまでもなく風邪の大敵は「不眠」。睡眠時間が短い、あるいは眠りが浅い、などで弱った体力が、ウィルスの感染を許してしまうケースも多々あります。
働き女子のおひとり力では、“健康”がとても大事。では寒い夜、どうすればぐっすり心地よい「快眠」を手に入れられるのでしょう?
「冷え性なんで、冬は夜眠る前、擦ったショウガを紅茶に入れて飲むようにしてるんですが……もう体が慣れちゃったのか、最近“効いてる”実感があんまりないんですよね」
と話すのは、あるNPO団体で働くA子さん(20代後半)。
私もそうですが、冷え性対策として冬、ショウガを積極的に摂取する女性も多いでしょう。
昨年冬に行なわれたある調査でも、「風邪予防のためにどんな対策を行なっていますか?」と聞かれ、「体を冷やさないようにする」と答えた女性が3割(28%)、「ショウガやニンニクを多く摂取する」が2割(18%)にのぼりました(13年 楽天リサーチ調べ)。
ところが最近、「ショウガは、場合によると体を温めるどころか“冷やす”ことにもなり兼ねない」といった報道が、一部でなされているのをご存じでしょうか?
たとえば、漢方薬の処方などを中心に診療を行なう、東京・江東区「イシハラクリニック」の石原新菜副院長による説。
私がレギュラーコメンテーターとして出演する報道番組『キャスト』(朝日放送)でも先日、石原先生に電話取材をお願いしました。
先生によると、
◆ショウガが体を温めてくれるのは、あくまでもショウガに含まれる「ショウガオール」という成分が作用したときのこと
◆(A子さんが利用する)生のショウガには、「ジンゲロール」という熱を体外に放出する成分も多く含まれ、むしろ体を冷やしてしまうこともあり得る
北里大学東洋医学総合研究所の漢方鍼灸治療センター・伊藤剛医師らも、ほぼ同じ説を主張しています。
ではいったい、どうすればショウガで体をポカポカ暖めることができるのでしょう?
ひと言でいうと、ショウガを“生”でなく、蒸して乾燥させて摂取するのがいいよう。先の石原先生いわく、その方法はおもに2つです。
1.オーブン、または「オーブン機能付電子レンジ」に、薄くスライスしたショウガを並べ(耐熱皿を利用)、80~100℃で1時間加熱する
2.電子レンジに、同じくスライスしたショウガを並べ(シリコンスチーマーを利用)、500Wで3分加熱する
1の場合、乾燥も同時に行なってくれるので、そのままでOK。2の場合は、蒸しあがったものをいったん天日干し、または室内干ししてから、それぞれ小さく砕いて瓶詰めなどにして置いておけば、眠る前の紅茶やこぶ茶はもちろん、鍋など夕食のメニューにも入れられます。
NHK総合の人気番組『あさイチ!』でも以前、ほぼ同様の手法で加工したショウガを「ウルトラ蒸しショウガ」として紹介しましたが、そこでもショウガを“蒸す&乾燥させる”ことで分子構造が変わり、「体を温める作用を持つショウガオールが飛躍的に増える」との提言がありました(13年1月15日放映分)
その増加割合は、なんと400倍!
さらにここまでショウガオールが上昇すると、冷え対策につながるだけでなく、ダイエットにも効果が期待できる、とのことです。嬉しいですよね。
一方、「年末、枕を新しくして『香り袋』を入れるようにしたら、ぐっすり眠れるようになった気がする」
と笑顔で話すのは、映画会社に勤めるB子さん(30代前半)。
彼女が利用したのは、枕のオーダーショップ「PILLOWY café(ピローウィーカフェ)」(西川産業)。
この店の特徴は、自分だけのオリジナル枕(枕パーツ)を「スイーツを選ぶように」楽しく選べることと、もう一つ。枕本体だけでなく“香り”も含めて提案することです。
一般に、オーダーメイド枕というと「値段が高い」「なんとなく敷居が高い」とのイメージもありますが、B子さんが利用したピローウィーカフェの場合、価格は9800円から、と比較的手ごろ。
私も彼女の薦めで一度、横浜・赤レンガ倉庫にあるお店を覗いてみました【写真】。確かに入りやすいし、足を踏み入れた瞬間、「わあ!カワイイ」と気分がアガる空間です。
選べる香り(ハーブ)は、カモミール、ラベンダー、ローズとわずか3種類ですが、各ハーブを包んだサシェ(香り袋)を枕に入れて眠る仕組みなので、その夜の気分によって香りを替えられる。
枕素材や枕カバー、そして香りの組み合わせは、全1000種類以上にも及ぶので、パティシエスタイルのスタッフ(眠りのスペシャリスト)に相談しながら、自分に合ったスタイルを選んでもらうと良いでしょう。
昨年9月、P&Gが行なった調査(「現代女性の睡眠に関する意識調査」)でも、女子の快眠対策の工夫で「効果があった」「ややあった」の上位3位は、「薬」「適度な運動」、そして「アロマやお香など心地よい香り」となりました。
手軽に済ませるなら、ハーブやアロマを別途購入して、枕に入れたりシュッと香りのスプレーを吹き付けるだけでも違いそうですよね。
とはいえ、「そもそも忙しくて睡眠時間そのものが短かすぎるんです」といった声も聞こえてくる。
でも実は昨年11月、働き女子の皆さんが眠り足りないときにふらっと立ち寄って「おひるね」できるカフェがオープンしたんです。
東京・神保町に登場したおひるねカフェは、「corne(コロネ)」。
利用者は女性限定、飲食やパソコン作業などができるカフェスペースの奥に、魅惑のおひるねスペースがあります。
ベッドは8台、なんと天蓋付きのいわゆる「お姫さまベッド(仮眠ベッド)」で、利用料は10分150円。平日朝8時~夕方6時、土曜8時~夕方4時の営業時間中、パソコンや携帯電話からも予約が可能です。

運営するのは、睡眠専門のマーケティング会社、(株)ねむログ(東京都渋谷区)。
同社は以前から、睡眠時間を記録するWEBサービス「ねむログ」を運営しており、会員数は3万4700人強にものぼるとか(14年1月現在)。
そのWEB上で取り組む「睡眠の質の向上」をリアルの場で具体化したのが、「おひるねカフェ コロネ」だそうです。
利用した働き女子の皆さんからは、すでに
「こんな休憩場所が欲しかった!」
「女性専用だから落ちついて眠れそう」
「かわいいベッドでテンションがあがる!」
といった喜びの声があがっている、とのこと。
同社の代表取締役社長・川添祐貴さんも、コロネ開業の記者会見で、「将来的には(コロネを)企業内の施設としてフランチャイズ化したい」と話すなど、意欲的です。
“仕事中のお昼寝”には抵抗がある女子も多いでしょうが、睡眠インストラクターの橋爪あきさんは、「日本の働く女性は、世界一睡眠時間が短いと言われています。お昼寝ですべては解決できませんが、ケアの一手段としては有効でしょう。大事なことは、昼寝のメカニズムも含め、睡眠に関する正しい知識を学ぶことです」
と話します。
なお仕事中、20~40代女子が効果的にお昼寝するには、時間にして15~20分程度、熟睡しすぎない程度の環境で仮眠するのがいい、と橋爪さん。
皆さんもこの冬、いろんな工夫で、快適な眠りを手に入れてみませんか?

睡眠インストラクター(日本睡眠改善協議会認定)
スタジオ・ソムニナ主宰。慶應病院・医局秘書や日英語学講師を経て、現在は不動産会社代表のかたわら、みずからの睡眠障害克服に基づき、睡眠の知識と文化を広める活動を行っている。日本眠育普及協会代表、NPO法人睡眠事無呼吸症候群ネットワーク幹事なども務める。












