授業に集中できない小学生が増えている。子どもの<からだ>にこだわった研究を行ってきた日本体育大学の野井真吾教授によれば、前頭葉の働きが未熟な「そわそわ型」の子どもが増えたこと、セロトニン神経が弱化していることが原因という。授業に集中できるような心と体を育むために、幼児期から家庭でできることについて、野井教授に話を伺った。
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保護者世代の中にも野山や空き地を駆け回って遊び、ワクワクドキドキした経験(以下、ワクドキ体験)があるかたも多いと思います。ダイナミックな遊びで子どもらしい興奮をたっぷり味わうことで、脳が発達、抑制する力が身に付きます。ところが、最近は屋内でゲームなどをして過ごす子どもが増え、思いきり身体を動かしたり、大声ではしゃいだりする機会が減っています。そのため、「そわそわ型」から脳が移行できない子どもたちが増えています。
私は、ワクドキ体験を幼児期に日常的に経験することが非常に大切だと考えています。子どもにとって一番のワクドキ体験は、日常のなかにある非日常の体験。特に屋外で思いっきりワクドキ体験をしてほしいのです。
日中、太陽光をたくさん浴びれば、背筋などの抗重力筋に緊張を与えるセロトニンが増えます。セロトニンが増えれば、夜眠るときに重要なメラトニンというホルモンも増やすことにつながり、良質な睡眠が得られます。スムーズに寝られるよう夜は電灯も暗めにし、遮光カーテンではなくレースのカーテンのみにするなどして朝日を浴びるようにすると、寝起きもよくなるでしょう。
「早寝・早起き・朝ご飯」が大切だとよく言われていますが、ご家庭の事情で早寝をしようと思ってもできない現状もあると思います。しかし、「光・暗闇・外遊び」なら、できそうな気がしませんか? 日中、光を浴びて外遊び、夜暗い所に身をおけば自然とメラトニンができて早寝ができるようになる。すると早起きができて朝ご飯も食べられるようになりますし、小学校に入学後も授業に集中できるようになるでしょう。
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/benesse-11212.html