燕市は、2020年開催の東京五輪に向けて、同市産の金属洋食器や厨房(ちゅうぼう)用具などを売り込む官民連携プロジェクトを発足させた。五輪では、都内に約1万7千人が宿泊可能な選手村が建設される予定で、食堂で使うスプーンや鍋などの特需が見込まれている。同市は、地元業界団体などを巻き込む“オール燕”で、得意のモノづくり技術を商機に結びつける戦略を練り、地域ブランド力の向上につなげる方針だ。
発足したのは「つばめ『東京オリンピック・パラリンピック』プロジェクト」。鈴木力市長のほか、日本金属洋食器工業組合(燕市)や日本金属ハウスウェア工業組合(同)、燕商工会議所の首脳らがメンバーとなり、11月中旬の第1回会議で活動の意義を確認した。
これを受け同市は、地元の売り込み策を検討するワーキンググループを結成、25日に初会議を開催。平成26年2月にも日本オリンピック委員会(JOC)と東京都が共同で設立を予定している大会組織委員会などに提案する。
同市によると、従業員4人以上の市内事業所は23年末現在で765事業所。うち約5割が金属製品や関連加工業で、そこで培った伝統技術と高い品質力を内外に認知させた経験をもつ。昨年のロンドン五輪のメーンスタジアム近郊で市内企業が高度なチタン加工技術で発色したモニュメントを設置した。
同じ年に北信越5県で開かれた高校総体(インターハイ)では、市内洋食器メーカー、サクライ中心のモノづくり集団が企画・製作したメダルを採用。統括した同社の田中幸一氏は「得意技を結集したメード・イン・燕を五輪にぶつけてほしい」と期待した。
燕商工会議所の田野隆夫会頭は「五輪は、燕の産地を潤し町おこしを行う千載一遇のチャンス。(地域の)沈滞ムードを打破したい」と意欲を示した。
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