2020年東京五輪・パラリンピックに向けて特産の小千谷縮(ちぢみ)を売り込もうと、小千谷市などは、開会式で日本選手団が着用する公式ユニホーム素材への採用を求めて活動を行う。谷井靖夫市長は「体感温度が5度下がるといわれる小千谷縮の涼感を選手に実感してもらい、世界に発信したい」と意気込んでいる。
小千谷織物同業協同組合によると、小千谷地方の織物は1200年以上の歴史を持つ。江戸時代には細かい波状のしわを織る技法が生み出され、汗をかいても肌にまとわりつかない夏の衣料として人気となった。
1955年には製作技術が国指定重要無形文化財となり、生産が最も盛んだった76年には市内にメーカーが50社以上あった。その後、和服を着る人が少なくなり、海外の安い衣料が出回るようになった影響などで、現在は18社に減った。
同組合は89年から、シャツやズボン、ジャケットなど、小千谷縮を使った洋服の生産に着手し、世界の麻製品を集めた展示会を開くなど、衰退に歯止めをかけようと取り組んでいる。五輪公式ユニホームへの採用活動もその一環で、100%天然で涼しさを感じさせる小千谷縮をアピールする考えだ。
同市は18日に泉田知事と面会して採用活動への賛同を求めるほか、小千谷商工会議所などと連携して日本オリンピック委員会(JOC)に働きかける。県内ではほかに、燕市が同市産の洋食器を五輪選手村で採用してもらおうと活動しており、両市で情報交換することも検討している。
同組合の松井均理事長は「世界中が注目する開会式の入場行進で、雪深い中でこつこつ織られた小千谷の文化を見てもらえたら」と話している。