大腸がんは粘膜下層よりも深く進行すると血管やリンパ管を通じて転移の可能性が高くなる。がんのステージによって手術や抗がん剤を使った化学療法などを組み合わせて治療する。
1.大腸がんのステージ
大腸がんは、大腸壁の最も内側の粘膜に発生し、外側に向かって広がっていきます。進行するにしたがってリンパ節に転移したり、血管を通じてほかの臓器や腹膜などへ転移し、全身へと広がっていきます。大腸がんの進行度を表すステージは、がんの深さ、リンパ節転移の有無、ほかの臓器や腹膜などへの転移によって分けられます。ステージ0はがんが粘膜内にとどまっていて転移のない状態、ステージ は粘膜下層や固有筋層にとどまっていて転移のない状態、ステージ は固有筋層を超えていて転移のない状態、ステージ はリンパ節転移がある状態、ステージ はほかの臓器や腹膜への転移がある状態です。
2.ステージに合わせた治療
大腸がんの主な治療には、内視鏡治療、手術、化学療法などがあり、ステージに合わせて選択します。ステージ0の場合は内視鏡治療が中心ですが、ステージ からは転移のリスクが出てくるため、多くの場合手術が選択されます。手術では、がんを中心に、口側、肛門側の腸管を約10cmずつ切除し、残した腸管を縫合し、同時に、転移の可能性のあるリンパ節も切除するのが基本です(リンパ節郭清[かくせい])。リンパ節郭清の範囲は、がんの進行具合によって異なり、血管の根元のリンパ節まで扇状に広く切除する場合もあります。
3.化学療法
化学療法は主にステージ ~ で、手術後の再発予防のほか、手術ではがんを取り除けない場合や再発した場合に行われます。薬はまず抗がん剤のフルオロウラシルとその効果を高めるレボホリナートカルシウムを選択し、抗がん剤のオキサリプラチン、イリノテカンのどちらかに、分子標的薬のベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブのいずれか1つを合わせて使うのが一般的です。
最近は、がん細胞の遺伝子のタイプを調べることにより、どの分子標的薬の効果が期待できるかを事前に知ることができるようになっています。調べるのはKRAS[ケーラス]という、がん細胞の増殖に関わる遺伝子のタイプで、変異のない「KRAS野生型」では3つの分子標的薬すべての効果が期待でき、変異のある「KRAS変異型」の場合はベバシズマブの効果が期待できます。化学療法の進歩とともに、進行した大腸がんでも治療が行えるようになってきています。担当医とよく相談して、自分の病状に合った治療を受けることが大切です。
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20131112-h-001.html