「インターネットで商品を頼んだのに届かない」というトラブルが急増している。海外の事業者が国内事業者を装って販売しているケースも多いとみられ、取り締まりは難しい。関係団体は詐欺サイトにだまされないよう注意を呼び掛けている。(村島有紀)
◆丸ごとコピー
公益社団法人「日本通信販売協会」(JADMA、東京都中央区)によると、今年度上半期(4~9月)、同協会が設置する相談窓口「通販110番」に寄せられた相談件数は4309件(前年度同期比57・1%増)と急増。中でも、ネット販売で代金を振り込ませるなどの「ネット通販詐欺サイト」の相談が1701件(同6・8倍)と急激に増えた。
詐欺サイトは海外の通販事業者に多いとみられるが、最近は国内の銀行に口座を開設するなどして見分けがつきにくくなった。国内に実在する事業者のホームページを丸ごとコピーし、銀行口座を変更するなどして代金を振り込ませる手口も増えている。
「通販会社の銀行口座にお金を振り込んだが、商品が届かない」「偽物が届いた」といった相談もあり、同協会の相談室長、八代修一さんは「数年前は一応、商品が届くケースが多かったが、最近は商品も届かないケースが増えた。品物も以前はブランドの衣料品やバッグ、時計などの高級品が多かったが、現在は200円、300円程度の生活雑貨まで商品の幅が広がっている」と指摘。そのうえで「詐欺サイトの開設者はサイトを開くだけで金が振り込まれ、商品を送る手間もないため、詐欺サイトが増えている印象」と話す。
◆先払いしない
あやしいサイトを見分ける方法として、同協会が挙げるのが、特定商取引法とその規則に沿った義務表示が行われているかどうかだ。例えば、会社情報。法律では、事業者の名前、住所、電話番号、責任者名の表示が求められているが、詐欺サイトではない場合がある。あったとしても実際には存在しない住所地だったり、空き家だったりするケースもある。
消費者庁が公開している「模倣品の販売が確認された海外ウェブサイト」の一つ、「Jennus.com」(http://jennus.com)の場合、住所、電話番号、責任者名の表示はある。しかし、住所をネットのマップで検索すると、別名の表札がかかった民家で、電話はつながらなかった。
支払い方法がクレジットカードの場合は、商品が届かないときはカード会社を通じて支払いを中止することができる。そのため、詐欺サイトでは、代金先払いで銀行口座に振り込ませることが多い。
八代さんは「支払い方法にクレジットカードを選択できるように見えても、実際にクリックすると、『ただいま事情により使えません』といった表示が出て、個人口座などに誘導される。詐欺の疑いがある場合は都道府県の警察が設置するサイバー販売相談窓口と金融機関にトラブルを伝えてほしい」とアドバイスする。
警察などに通報することで被害の拡大を防ぐことができ、金融機関の口座凍結ができれば口座の残金が被害者に返金され、被害を回復できるケースもあるという。
◆「通販110番」((電)03・5651・1122)は平日午前10時~正午、午後1時~4時。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131203-00000502-san-soci