【永田篤史】2004年、07年と2度の大地震に見舞われた長岡市の業者が開発した新型の「緊急告知ラジオ」を、同じく自然災害が多いインドネシアでも活用できるか、12月に現地で実証実験をして調べる。長岡で生まれた技術を、外国の防災に役立てる取り組みとして期待される。
緊急告知ラジオは、05年に岡山県倉敷市のケーブルテレビとラジオ局が初めて開発し、全国各地に普及している。緊急地震速報が流れる際にスイッチを切っていても、FM放送の特別な信号を受けて自動的にスイッチが入って速報を聞ける。
従来型の緊急告知ラジオは起動に数秒~10秒程度かかり、一部製品の中には普通の音楽を信号と誤認して起動するものもあった。
ワキヤ技研(長岡市)が作った新型製品「コムフィス」は、1秒で起動できる上、誤作動が起きなくなる新機能を備えている。既に同市、新潟市や愛知県豊橋市など全国5市町が計約3万5千台を購入し、自治会長らに配布している。
災害が多い外国でも使ってもらい、販路を広げようと、同社やFM新潟の幹部らは10月、インドネシアを視察。計30台をインドネシアでも火山災害の多い北スラウェシ州の学校や集落の村長宅などに12月中に配布し、地元FM局から信号を流すテストをすることを決めた。地元の人たちに使った感想やニーズがどれほどあるかなどを聞く。
実験費用は、政府の途上国援助(ODA)関連予算からの3千万円を活用する。FM新潟の古山洋・業務本部長は「災害が多くて防災意識が高い新潟で生まれた技術で、途上国の人命を守ることにつながれば」と話している。